高木登 観劇日記2019年 トップページへ
 
    加藤健一事務所 No. 106公演 『パパ、I Love You!』          No. 2019-031
 

 観客席通路もぎっしり補助席が据えられていて本来なら超満員のところ、超大型台風19号の翌日で交通事情の影響もあって所々空席があり自分の右隣も空席となっていた。

<2009年6月の観劇日記より>
原題は'It Runs in the Family'(「血は争えない」とか「カエルの子はカエル」という意味らしい)だが、『パパ、I LOVE YOU !』というのは加藤健一が考え、翻訳者や原作者にも上演にあたって了解をえているというが、ピッタリのタイトルだと思う。
1994年の初演でも補助席を作るほど盛況であったらしいが、今回も平日(月曜日)のマチネだというのに、通路に補助席を作るほどの満席状態。
原作者のレイ・クーニーの言では、「最高の笑劇は悲劇である」というが、まさに大いに笑いながらも、どこかペイソスを誘うものがあり、胸にじんわりとくるものがある。
最高に笑って、人生を感じて、気分は最高!
出演は、加藤健一、村田雄浩、日下由美、一柳みる、山野史人、他。

 クリスマスの前、内科部長への出世が約束された医師デーヴィッドの講演の日、セント・アンドルーズ病院の医師談話室を舞台にして繰り広げられる喜劇。
かつての彼の不倫の相手、元看護婦のジェーンが現われ、彼女が病院を辞めた理由が妊娠したためで、その父親がこの病院の医師だということを18歳の誕生日に母親から知らされた息子が、興奮して無免許運転でこの病院にやって来る途中警官につかまったという。
思いもよらぬ事態に、好演の準備を妨げられたデーヴィッドは次々に現れてくる周囲の人物に嘘に嘘を重ねてのっぴきならぬ事態に追い込まれていく。
ついには、デーヴィッドは同僚ヒューバートにジェーンの息子の父親だということを押しつける。
同僚のヒューバートを演じる清水朋彦のちょっとした表情、仕草ひとつが絶妙で大いに笑わされた。
ヒューバートは母親にも祝福され、美人のジェーンの息子の父親であることを受け入れるが、デーヴィッドの妻ローズマリーオチが夫に告白する(?)オチがきいてくる。
妻にばれるのを恐れて隠すつもりの嘘から始まったドタバタ喜劇であるが、妻は夫の不倫を昔から知っていただけでなく、彼が不倫をしている間、デーヴィッドの同僚ヒューバートと関係していたことをチラッと漏らす。
が、それが真実かどうかは観客の判断に委ねられるような結末。
観劇中、笑い声が絶えなかった。
今回の出演は、主演の医師デーヴィッドに加藤健一、同僚の医師ヒューバートに文学座の清水朋彦、デーヴィッドの妻に日下由美、元看護婦でデーヴィッドの不倫の相手ジェーシーに加藤忍、病院の理事長に田代隆秀、看護婦長に文学座の頼経明子など、総勢12名。
上演時間は、休憩15分間をはさんで、2時間15分。

 

作/レイ・クーニー、翻訳/小田島雄志・小田島恒志、
演出/加藤健一、美術/石井強司
10月13日(日)14時開演、下北沢・本多劇場、チケット:5400円、座席:B列4番


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