高木登 観劇日記2019年 トップページへ
 
   こまつ座 第126回公演 『イーハトーボの劇列車』        No. 2019-002
 

今回のチラシはいつものこまつ座のイメージとかけ離れていたが、公演自体もこれまでのこまつ座とは異なった印象を感じた。
『イーハトーボ劇列車』を初めて観たのは、99年2月、木村光一演出でのこまつ座第51回公演であった。
その時の記憶として残っているのは、佐藤慶が二役演じた賢治の父親政次郎と花巻の刑事伊藤儀一郎役の演技。
今回も印象に残ったのは、同じくこの二役を演じた山西惇。
松田龍平演じる宮沢賢治の台詞がか細く、頼りなげで、演技としての人物造形なのか、それともそれが彼の地なのかは分からないが、いずれにしても不満を感じる演技と台詞であった。
演出の長塚圭史が繰り返し説明している「これは死んだ農民たちの劇です」ということが意識されてか、チラシのイメージが暗く感じたように、この演出も全体的に暗く感じた。
冒頭部の列車の擬音も、自分が描いていたイメージと異なり、違和感のあるもので、自分の好みではなかった。
それに、音楽も新たに阿部海太郎が担当して宇野誠一郎の明るさ、軽快さが薄められていたように感じた。
出演は他に、賢治の母イチに村岡希美、妹トシ子に天野はな、三菱社員の福地第一郎に土屋佑壱、その妹ケイ子に松岡依都美、西根山の山男に宇梶剛士、なめとこ山の熊撃ち淵沢三十郎に福田天球、人買いの神野仁吉に中村まことなど、総勢12名。
上演時間は、途中15分の休憩を挟んで、3時間30分。

 

作/井上ひさし、演出/長塚圭史、音楽/宇野誠一郎・阿部海太郎、美術/乗峯雅寛
2月8日(金)13時30分開演、紀伊國屋ホール
チケット:8800円、座席:N列11番、the座:1000円


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