高木登 観劇日記2018年 トップページへ
 
   グローブ文芸シアター2018 『クリスマス・キャロル』     No. 2018-045
 

まず一番の感想は、心温まる晴れやかな気分にひたれる喜びであった。
これまでに何度も観ていてストーリーは分かっていても、朗読演技者の台詞力と演技力で、初めて観るような緊張感を味わうことが出来る。
主人公のスクルージを演じる蔀英治には独特の雰囲気と味わいがあり、マーリーの亡霊とスクルージの事務員ボブ・クラッチなどを演じる女鹿伸樹の表情豊かな演技力と台詞回し、第2の精霊の大男やスクルージの甥フレッドを演じる菊地真之の二人には、その対照的な人物像を演じ分ける見事さに見とれ、聴き惚れさせられる。
これまで何の疑問も持たずに観てきたが、この朗読劇では貧者への寄付を募るためにスクルージの事務所にやって来るのは二人の婦人になっているが、今回、改めてその部分の原作を見直してみると二人の紳士になっており、出演者の関係で演出者の蔀英治がその部分を変更したのかどうか遅まきながら気になったが、二人の婦人のうちの一人を演じる倉橋秀美の演技や台詞にいつも感心していたので原作もその通りだと思っていた。
その倉橋秀美や、白神直子のキュートな演技が心を和ませてくれる。
出演は他に昨年から北村青子に変った松川真澄、そして朗読劇の間奏曲を上野萌香のヴァイオリン演奏。
今回、この朗読劇を観ていてこれまで以上にあっという間に終わってしまった感じで名残惜しい気がした。
毎年思うことであるが、この朗読劇をもっと大勢の観客に観てもらいたいという気持で、空席が多いのがもったいない気がしてならない。


原作/チャールズ・ディケンズ、構成・朗読台本・演出/蔀 英治、音楽/大政直人
12月21(金)14時開演、武蔵野スイングホール、料金:3000円、全席自由席


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