高木登 観劇日記2018年 トップページへ
 
   第2回 英語かたりの会 ―朗読・語り・一人芝居・落語―   No. 2018-004
 

【第一部:朗読と語りと一人芝居】

1.O. ヘンリー作『最後の一葉』、尚しょうこ (20分)
非常に落ち着いた、クリアな発音で聴き取りやすい英語の朗読であった。
物語の内容を知っているだけに、余計に親しみを持って聴くことが出来た。

2.市川忠雄が、民話『神様と小便』と「詩や言葉を楽しもう」と、シェイクスピアの『お気に召すまま』からジェークィズの'All the Word's a Stage'の冒頭部を朗誦し、続いて谷川俊太郎の言葉遊びの詩をゲーム感覚で、早口言葉で朗読し、事前に準備された観客参加も加えて会場を盛り上げた。(20分)

3.高橋りりすによる一人芝居、高橋りりす作『私は生き残った』 (40分)
この一人芝居は圧巻であった。
どこまでが実際の話かは本人に確認していないので明らかではないが、作者=演者の実体験に基づいた物語で、作者が演劇の学位を取るためにアメリカの大学に留学した時、指導教授によるセクハラを受けたトラウマがストーリーの根幹となっている。
親の反対を押し切って留学したということもあり、学位取得を諦めて帰るわけにもいかず、試験の為に家庭教師を頼んだ友人にセクハラを相談すると逆に遠ざかってしまわれ、婦人団体からは裁判を勧められるが、婦人たちの声色の使い分けが、被害者への同情というよりむしろ責めているような印象をよく伝えており、メガネやイヤリング、上着を羽織るなど小道具類をうまく使ってその雰囲気をよく出していた。
トラウマの元凶となっていた被害を受けていた時に着ていたシャツを脱ぎ捨て、友人から差し出された新たなシャツを着ることでそのトラウマから逃れることが出来、自分には苦しみから逃れる勇気が持てたことを自覚し、自分は生き残った(I have survived)のだと確認し、最後は、床に脱ぎ捨てたシャツをジャンプして飛び越えたことで、そのトラウマを乗り越えたことを表象した。
このトラウマの苦しみの展開が息詰まるような緊迫感で伝わって来て、ずっと惹きつけられたまま聴き入った。
アメリカでの演技の修行もしてきただけに、英語の発声もクリアで聞き取りやすく、聞きごたえのある力量の演技であった。

―15分間の休憩―

【第二部:英語での落語】

1.『子ほめ』 鹿鳴家ぴーこ
2.『死神の名付け親』(朗読―グリム童話から) 鹿鳴家英楽
3.『死神』 鹿鳴家とん駄
4.『茗荷宿』 鹿鳴家うさぎ
5.『お楽しみ』 (毒ブスの落語)鹿鳴家英楽

2月12日(月)12時30分~15時30分、お江戸両国亭にて
木戸銭:1000円


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