高木登 観劇日記2018年 トップページへ
 
   加藤健一事務所公演 『Out of Order』イカれてるぜ!      No. 2018-033
 

笑って、笑って、大いに笑った。
笑いは、精神の浄化作用、心身の健康の元。
国会の最中に、会議をすっぽかして、与党副大臣のリチャード(加藤健一)が、ウェストミンスター・ホテルの648号室のスイートルームで、野党党首の秘書ジェーン(加藤忍)と甘い夜を過ごそうとしている矢先、バルコニー側の窓のカーテンを開けると、なんとそこには窓に挟まれた男の死体!!!
二人の密会がばれると、スキャンダルもさることながら、リチャードは妻に知られることを恐れ、死体をクロゼットに隠してしまい、その始末をさせるために私設秘書のジョージ(浅野雅博)を呼び出す。
不審者が648号室の窓にいるというホテルの客の通報でホテルの支配人(新井康弘)が駆けつけて来る。
リチャードは窓には誰もいなかったと嘘をつき、そこから次々と嘘を重ねていかなくてはならない羽目になる。
支配人にはジェーンとジョージは今日結婚したばかりの新婚だと紹介し、彼らのために(というより自分のために)もう一つスイートルームを用意させる。
ジョージは、母親を看護している看護師(頼経明子)に今夜は遅くなることを電話するが、心配した母親に代わって看護師が電話してきたのを受けたリチャードが受けて、彼はジョージが結婚して今夜はホテルに泊まると言って電話を切ってしまう。
一方で、窓に挟まれた死体(さとうこうじ)は、ジョージの後をつけさせていた探偵であることが、部屋に乗り込んできた夫(阪本篤)の言葉から明かされる。
死体の始末をしようとして車椅子に乗せていた探偵が、誰もいなくなった時、突然、息を吹き返すが、彼は一時的な記憶喪失にかかって何も覚えていない。
その探偵の名前はジャックだが、リチャードはジョージの兄に仕立てたでけだなく、話す相手と状況によって色々名前と関係を変え、リチャードはなんとかその場を繕う。
リチャードの妻パメラ(日下由美)や看護師などが突然現れ、ジョージもその場を取り繕うために、彼女らを愛していると言って激しくキスをし、ベッドインの寸前まで行く。
筋書きをたどるのはナンセンスでしかないが、一難去ってまた一難の、息を継がせない笑いの連続であった。
出演は他に、ホテルのボーイに坂本岳大、メイドにはざまみゆき。
個性豊かな絶妙な演技の10人の出演者のアンサンブルが、笑劇―笑撃―衝撃で、大いに楽しませてくれた。
教訓、嘘は嘘を招く―どこかの国のモリカケ答弁のごとく。
上演時間は、途中15分の休憩をはさんで、2時間20分。


作/レイ・クーニー、訳/小田島恒志、演出/堤 泰之、美術/乗峯雅寛
9月28日(金)14時開演、下北沢・本多劇場
チケット:5400円、座席:B列7番


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