高木登 観劇日記2018年 トップページへ
 
   こまつ座第123回公演 『マザンナ、わが町』         No. 2018-028
 

1997年のこまつ座第47回公演で観て以来21年ぶりだと思っていた。
観終わった後、気になったので最近は買っていない「the座」(No.97)を買ってみた。
すると、3年ぶりの再演とあったので、こまつ座の公演は可能な限り全部観ているので観劇記録を紐解いて調べて見ると、2015年10月に確かに観ている。
その事を失念していたのは、97年の公演で観たサチコ斎藤を演じた松金よね子の印象が強く残っていて、3年前に観たことなど完全に頭から消えていたからだった。
今回の公演が日本人海外移住150周年記念公演ということで21年ぶりの上演と信じ込んでいた。
97年の公演時に買っていた「the座」(特別増刊号)を見直してみると、井上ひさしの巻頭言「あるたとえ話―前口上にかえて―」に「劇作家は造船家で、演出家・スタッフ・キャストは船の乗組員、観客は乗客」という譬えがあって、その譬えに改めて感心させられた。
井上ひさしの作品にはどれも貴重な情報が満載されていて、同じ劇の再演を観るたびに新しい発見をさせられるが、今回特に感じたのは、真珠湾攻撃をした日本人の大胆な行動で日本人とはどんな人種か分からなくなったということで、日本人を知るために文化人類学者をして日本人を観察させたというアメリカの懐の深さであった。
ここからしてすでに戦争の勝敗は決していたと思わざるを得なかった。
97年のこまつ座第47回公演は、初演からの再々演で、その時の出演者は、川口敦子(ソフィア岡崎)、神保共子(オトメ天津)、松金よね子(サチコ斎藤)、西尾まり(リリアン竹内)、一柳みる(ジョイス立花)。
今回の出演者は土居裕子(ソフィア岡崎)、熊谷真実(オトメ天津)、伊勢佳世(サチコ斎藤)、北川理恵(リリアン竹内)、吉沢梨絵(ジョイス立場)で、3年前の出演者はリリアン竹内役だけが変わっていて笹本玲奈が演じていた。
3年前に観た記憶はなかったものの熊谷直美のオトメ天津だけ記憶が少しだけ戻ってきたが、今回、その彼女の声がしわがれて潰れているように聞こえたのが少し気になった。
でもやっぱり、井上ひさしは面白い。


作/井上ひさし、演出/鵜山 仁
9月9日(日)13時30分開演、 紀伊國屋ホール
チケット:7000円、座席:M列13番、the座No.97(1000円)


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