高木登 観劇日記2018年 トップページへ
 
   Naughty Boyz公演・第二弾 『スカートの中は苺パンツ』      No. 2018-024
 

タイトルも変わっているが、個々の場面の展開も荒唐無稽、奇想天外で変っているものの観終わった後の感想としては意外と構想がしっかりしており、結末も落ちるところにきちんと収まっていて後味もさわやかであった。
史上最年少で芥川賞を受賞したという主人公太一が、山頂の縁結びの神社で恋人の美樹にプロポーズする場面から始まるが、そのプロポーズの最中に、縁切り神社と間違えて来る白装束の京都弁の女性や、神社で首つり自殺をしようとする中年男性や、自殺志願者など次々と邪魔が入る。
プロポーズしようとする太一が、夕陽を見て形容する表現が歯の浮くような台詞、また自殺をしようとする者に対してプロポーズの邪魔者としか考えない全くの自己中に、美樹は彼を一人残して彼の車で山を下りてしまう。
首つり自殺をしようとした中年の男性と太一は一人残されてしまうが、その男性は実はそれを商売にしており、神社の洞穴から白鳥ねず子とポールねず吉という疑似親子が出て来る。
この3人は潰れかけた神社の再建のために自殺志願者をほう助して金を稼ぐのを商売にしているのだった。
ねず子とねず吉のはじけるような笑い声の笑いの場面があったりする中で次々と意外な話が展開して行き、観ている者を飽きさせずぐいぐいと引き込んでいく。
タイトルになっている「スカートの中は苺パンツ」は、実はこの太一が芥川賞を受賞した作品の中に出て来る表現であるが、書いた本人は何も意味せずに書いているが、ねず子とねず吉の方がその意味を深くとらえているというアイロニーをもたせている。
神社の古井戸から赤い紐が垂れており、それを引っ張ると、手繰り寄せても紐は尽きることがなく、それを不審に思った太一が古井戸に石を投げ込むと、800年前の源頼朝の時代の落ち武者が突如現れて来る。
15歳の少年である神社の再建経営のコンサルタントのために、向かいの山のかつての縁切り神社が縁結び神社となって、太一が縁結びの神社と信じ込んでいた神社は、実は縁切り神社となっていたことが分かってくる。
京都から来た白装束の女性の正体は、いかさまコンサルタントのインチキを暴く為に古井戸の落ち武者が呼び寄せた「紫式部」であったが、太一のプロポーズの結果は美樹が再び戻ってきたことで意外な真実が分かる。
中年男の自殺を装った男は、この神社の後継者であるが父親の道山が健在で、いつまでも後を継がせない。
美樹は、実はその男の娘で神社の後継者となる男性と出ないと結婚できないということで、太一を試していたのだったが、太一のプロポーズも最後の最後までどんでん返しが続く。
出演は、主演の太一にフェルナンデス直行、恋人の美樹に南彩加、ねず子にかとうずんこ、ねず吉に中島舞香、神社の神主道山に女鹿伸樹、他、総勢13名。
笑って、楽しませてもらった。
上演時間は、休憩なく1時間40分。


脚本/長谷部成彦、演出/富永敬太 8月2日(木)14時開演、
下北沢・GEKI地下Liberty、チケット:3500円


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