高木登 観劇日記2018年 トップページへ
 
   仮想定規・渡英前の公開稽古 『The GATE2018年改訂版』    No. 2018-022
 

エジンバラフェスティバルの公開稽古、内容については、出演者の一人、阪口美由紀さんからの案内メールが参考となるので、そのまま掲載する。

【7月23、24日公開稽古にいらして下さい。】
<渡英前の公開稽古、作品:「The GATE2018年改訂版」、童謡「通りゃんせ」をモチーフにあの世とこの世のGATEを描くジェットコースターミュージカル!英語字幕つき
2018年夏、仮想定規はスコットランドツアーを目指します。8/1日に幕を開けますエジンバラフリンジフェスティバルは世界中のお芝居やパフォーマンスが集まる世界最大の演劇祭!
そこで、5分仕込み➡45分上演➡5分撤収という怒濤の演劇スタイルを体験します。
多くの国は「椅子を並べる」等の簡易的な舞台美術が多い中、我々の舞台では「まさか!あんなものが折り畳まれてスーツケースに?!」や「そんな点数どうやって配置するの?!」などのミラクルを起こし驚きを持って評価されてきました。しかし、実はそれには「仕込みのための稽古」や「まるでパズルのように配置された収納」などの日本人が得意とする綿密な下準備が必要なのです。そして!なによりも「お客様の目」がその稽古に必要なのです。
公開稽古(カンパ制)にて全てお見せします。ぜひ、お力を貸してください。
8/13日から二都市目フィンドホーンへも参ります。
こちらは日本人としては、はじめて作品をお届けする地となります。
仮想定規の新しい挑戦に皆様の温かいご支援を切に願っております。
※エジンバラフリンジフェスの本番通り[5分仕込み➡5分客入れ➡45分上演➡5分撤収]の上演1時間をご覧いただきます。>

現地に行けない自分にとっては、この公開稽古はフェスティバルのよい疑似体験の場となった。
観客は、会場に入ると此岸から彼岸の世界へと入ることになる。
フェスティバルというお祭りにふさわしい神社の縁日の舞台装置が開演前の、仕込みの5分間の間に組み立てられ、赤い大きな鳥居、神社の前の出店を示す暖簾の数々、お面を売る屋台には、狐のお面をかぶった売り子、舞台下手には占いの屋台など、神社のお祭り風物がセットされている。
お祭りの屋台がいかに客を引き寄せるかが問題であるように、フェスティバルではいかに客を呼び込み、自分たちのパフォーマンスを見させるかが一番の課題である。
このフェスティバルの期間中、市の人口の2倍の人出となるエディンバラの市内では、朝10時前から夜の11時まで、通常の劇場以外にも、あらゆる施設、建物、屋外と至る所でパフォーマンスが催されており、面白くなければ、お客は入った途端3分もしないで出て行ってしまうという。
'THE GATE'は神社の鳥居を表し、その鳥居が含んでいる象徴的な意味、劇中歌の童謡「通りゃんせ」の隠された怖い意味が、劇中、此岸と彼岸の世界として織り込められ、演じられ、日本人にとっては郷愁をそそる懐かしい縁日は、外国人にとってはエキゾチックな雰囲気で興味と関心を引く出し物には違いない。
全体としてのまとまったストーリーは無いに等しいが、唄あり、踊りありの中で、後半部に物語らしいストーリーが展開された。
人には逢わないという大富豪のメイドの募集に、メイドの衣装で女装した男が面接を受けようとするが、実はその男は、大富豪と母との間に生まれた息子であるという設定で、母は認知症らしく徐々に記憶が消えて行くその前に大富豪にあてた手紙をしたため、息子はその母の願いを満たすべく大富豪と会おうとするのだった。
物語が錯綜としているので自分の記憶も曖昧になっているが、男は実は彼岸の世界に入っており、その事に気づいて、生きている間にやっておくべきことがあった、死ぬことがわかっていたらやっていたのにと後悔の言葉を吐くと、狐の面をかぶった女が、死ぬことは解っていたはずと言う。
そう、人間は必ず死ぬものであるということで、死ぬことは解っている。ただ分からないのは、それがいつであるかということだけである。
「通りゃんせ」の童謡と鳥居はその表象でもあるのだが、このようにシンボライズされた意味がどこまでとらえられるかは疑問だが、パフォーマンスとしての興味では、日本の古典的芸能である歌舞伎の所作や木を入れる場面などは外国の観客の気を引くことは間違いないと思う。
自分にとっての関心事は、このようなパフォーマンスが外国の観客にどのように受け入れられるかということと、その反応を見てみたいということで、それだけでも実は現地で直に見たいと思っている。
それでも今回は貴重な疑似体験をさせてもらっただけでなく、面白く楽しませてもらった。

 

作・演出/青木砂織、音楽/ほんだまこと、美術・メイク・振付/青木砂織
7月24日(火)13時、横浜・若葉町ウォーフ
餞(はなむけ)としてチケット料金2000円+αのカンパ


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