シェイクスピア以外の観劇記録・劇評

 

2015年9月の観劇日記

018 18日(金)14時開演、文学座アトリエ公演 『あの子はだあれ、だれでしょね』

作/別役実、演出/藤原新平
出演/関輝雄、戸井田実、吉野由志子、寺田路恵、玉井碧、南一恵、古坂るみ子、藤側宏大、他

信濃町・文学座アトリエ、座席:B列17番
上演時間:1時間35分

【観劇メモ】
実際に起こった事件、いわゆる「尼崎事件」を素材にした劇であるだけに、不条理を超えた生々しさとリアルさを体感した。ある意味では馬鹿々々しくなるような、嘘のようなホントの話に、「事実は小説より奇なり」という言葉が月並みに感じる。アトリエ公演ならではの舞台であると、最後まで息が抜けずに魅入った。

 

2015年10月の観劇日記

019 5日(月)13時半開演、こまつ座公演 『マザンナ、わが町』

作/井上ひさし、演出/鵜山仁
出演/土居裕子、熊谷真実、伊勢佳世、笹本玲奈、吉沢梨絵
新宿・紀伊國屋ホール、チケット:7000円、座席:F列7番

 

020 11日(日)14時、Pカンパニー公演 『新・ワーグナー家の女』

作・演出/福田善之、演出協力/林次樹・佐々木治己  
出演/観世葉子(母・ヴィニフレッド)、木村万里(娘・フリーデント)、前田昌明(ナレーター・トスカニーニ)、他 西池袋・スタジオP、チケット:2500円、全席自由席
上演時間:1時間35分

【観劇メモ】 「福田善之を読む」シリーズの<その3> 朗読劇だが、ほとんど普通の舞台と変わらない。木山事務所時代に一度観ているが、内容も忘れていたので新鮮な気持で、サスペンス的な展開を楽しんだ。

 

021 12日(月)13時、文学座附属演劇研究所研修科発表会 『闇に咲く花』

作/井上ひさし、演出/鵜澤秀行

信濃町・文学座アトリエ

 

022 23日(金)14時、テアトルエコー公演 『諸国を遍歴する二人の騎士の物語』

作/別役 実、演出/永井寛孝、装置/大田 創
出演/山下啓介、沖恂一郎、沢りつお、永井寛孝、薬師寺種子、他

恵比寿エコー劇場、チケット:5000円、座席:A列9番

【観劇メモ】
当初出演予定の熊倉一雄が公演開始前に病気のため降板となり、結果的には公演の前(12日)に直腸がんのために亡くなられてしまった(享年88歳)。
舞台を観た印象では、代役の山下啓介も悪くはないが、熊倉一雄が沖恂一郎とのコンビで演じていたら面白かっただろうというのが第一印象であったものの、別役実の不条理劇の世界を楽しんだ。
上演時間は休憩なしで、1時間40分。

 

022 30日(金)14時、第41回名作劇場 『邪宗門』&『空気はぜひ必要です』

『邪宗門』(作/林 和)、『空気はぜひ必要です』(作/鴇田英太郎)、企画・演出/川和 孝

両国・ シアターX、チケット:2500円(特別割引)

【観劇メモ】
短編小説を読むような味わい深い舞台であった。
埋もれた作家、作品を掘り起こし、今日の世界に蘇らせてくれるこの企画は貴重な存在だと思う。
『邪宗門』は大正4年の作品で、悲劇の部類に属するだろう。
物語は、諸国遍歴の若い武士が、目の見えない住職の荒れ果てた寺に一晩の宿を借りるところから始まる。
その武士が住職の目が見えなくなったいわれの夢を見る。
3代将軍家光の死去に乗じて忠臣の家老は、ご禁制の邪宗を信じる主君に殉死という手段でお家の家名を保とうと説得を図るが、自殺を禁じるキリスト教を信じる主君がそれを受け入れられるはずはなく、家老はやむなく主君を刺し殺す。
しかし、ここには伏線があって、この殿は家老の妻と深い関係があって、家老の手にかかって殺されることをむしろ喜び、それを待っていたふしがある。
殿を愛していた家老の妻も後を追って死に、その時になって初めて家老は妻の不貞を知る。
目が見えていた時には物事が見えておらず、家老は脇差で自分の目をつぶす。
目の見えない住職は、実はその家老であったことを知り、そのおぞましさに武士は早々に立ち去る。
ゆっくりとしたテンポで展開するが、上演時間は50分にも満たない。
『空気はぜひ必要です』は昭和4年の作品で、うって変わって喜劇となっている。
愛し愛されて夫婦となったはずの二人が、夫の寝言で夫婦喧嘩となり、妻は家を出て行く。
夫は劇作家で、これでゆっくり作品が書けると思う矢先に、次々と御用聞きや押し売りなどが押しかけてきて何もできない。最後には彼の妹がやってきて、詩人である夫と夫婦喧嘩して家を飛び出してきたと言う。
妹夫婦の喧嘩の原因も全く同じなら、彼らのなりそめも口説き文句も劇作家夫婦と一字一句違わず同じであるというのがオチで、そこで終わる。
これも40分程度の作品。 
途中15分の休憩を挟み、2つの作品で2時間足らずであった。

 

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