高木登劇評-アーデンの森散歩道-別館-2012年1月〜

 

2013年2月の観劇記録
 
001 2日(土)昼、タイプスプロデュース公演 『銀のほのおの国』

原作/神沢利子、脚本/冬城久次、構成・演出/パク・バンイル  
出演/上杉豪(たかし)、藤原亜紀乃(ゆうこ)、庄田侑右(はやて)、大竹一重(ばば)、新本一真(ニンジン掘り)、 他

シアターX(かい) にて、劇団招待、自由席

 

002 15日(金)昼、劇団マウス オン ファイア(Mouth on Fire)来日公演『消滅するまえに…』

作/サミュエル・ベケット
演目/「オハイオ即興劇」「あしおと」「あのとき」「行ったり来たり」   Before Vanishing…/Ohio Impromptu, Footfalls, That Time, Come and Go

シアターX(かい)、チケット:1000円、自由席

 

【内容】 
ベケット後期に書かれた作品を、作者自身が残した演出ノートに基づき創出した4つの演劇詩。 劇団マウス・オン・ファイアは2010年にベケット作品を上演するために設立されたアイルランドの劇団。 最初の「オハイオ即興劇」は、冒頭の解説でも述べられたように、レンブラントかフェルメールの絵を思わせる陰影の舞台であった。 最後の「行ったり来たり」の出足はシェイクスピアの『マクベス』の冒頭部魔女の台詞を思い出させる。三人の婦人がコートを着て帽子を目深にかぶり、ほんの少しだけの台詞を語り、中央に座っている女性がその会話をきっかけに坐を抜けると、下手側の女性がもう一人の女性になにやら耳打ちすると、それを聞いた女性は驚いた表情で「あらまあ」というような声を発する。座を外していた女性が戻ってきて耳打ちした女性が今度は真ん中になり、同じようのことが繰り返される。ただそれだけの劇であるが、沈黙の時間が長いので非常な緊張感を感じる作品である。英語で演じた後、今度はそっくり同じことをアイルランド語で繰り返す。 上演後のアフタートークでアイルランドがまだ存在するのか尋ねたら、アイルランド人の15%がアイルランド語を話し、特に西部で語る人が多く、学校教育でもアイルランドが教えられており、その数はむしろ増えているという。 わずか1000円の料金で、貴重な舞台を観ることが出来た。

 

3月の観劇記録
 
003 12日(火)昼、加藤健一事務所公演 『八月のラブソング』

作/アレクセイ・アルブーゾフ、英訳/アリアドネ・ニコラエフ、訳/小田島恒志、演出/鵜山仁 
出演/加藤健一、戸田恵子

下北沢・本多劇場、チケット:5000円、座席:K列17番

 

004 19日(火)昼、燐光群公演 『カウラの班長会議』

作・演出/坂手洋二、美術/島次郎  
出演/大西孝洋、鴨川てんし、猪熊恒和、円城寺あや、樋尾麻衣子、中山マリ、他多数

下北沢ザ・スズナリ、チケット:シニア2500円、座席:B列9番


4月の観劇記録
 
005 8日(月)昼、こまつ座&ホリプロ公演 『木の上の軍隊』

原案/井上ひさし、作/蓬莱竜太、演出/栗山民也、美術/松井るみ
出演/藤原竜也、山西惇、片平なぎさ

Bunkamura シアターコクーン、チケット:10000円、座席:S席、1階O列5番

 

【感想】
井上ひさしにみられる作品のふくらみがないのが残念であり、物足りなく感じた。

 

006 21日(日)昼、演劇集団円公演 『あわれ彼女は娼婦』

作/ジョン・フォード、訳/小田島雄志、演出/立川三貴  
出演/瑞木健太郎(ジョヴァンニ)、乙倉遥(アナベラ)、吉澤宙彦(バーゲット)、小川剛生(ポジオ)、関貴昭(ヴァスケス)、柏木隆太(枢機卿)、伊藤昌一(ドナード)、山本健翔(フローリオ)、他

田原町・ステージ円、チケット:4500円、座席:B列15番

 

【感想】
円ならではの舞台だと感心した。 近親相姦と復讐劇というあまり嬉しくもないテーマのおぞましい作品であるが、吉澤宙彦と小川剛生が演じるバーゲットとポジオの道化的な演技に救われる思いがした。

 

5月の観劇記録
 
007 10日(金)昼 『うかうか三十、ちょろちょろ四十』

作/井上ひさし、演出/ 鵜山仁、音楽/荻野清子、美術/島次郎  
出演/藤井隆司(とのさま)、小林勝也(お侍医)、福田沙紀(ちか/れい)、鈴木祐樹(権ず)、田代秀隆(ご家来)、他

紀伊国屋サザンシアター、チケット:6500円、座席:11列14番、プログラム(the 座)800円

 

【観劇メモ】
少し物足りなさを感じた。小林勝也のお侍医がよかった。
上演時間は1時間強と短い。


008 13日(月)昼、トム・プロジェクト プロデュース公演 『完全姉妹』

作・演出/中津留章仁 
出演/真野響子、眞野あずさ
赤坂レッドシアター、チケット:4500円、座席:D列10番


【感想】
実の姉妹による初共演で、劇の中でも姉妹を演じる。 内容的には、女性のおしゃべり、ゴシップという感じで、最初のうちは聞いているのが退屈だった。 最後の老人ホームの場面は、二人があまりに若々しいのに違和感があった。 休憩なしで1時間半ほどの劇。


 

別館目次へ