高木登劇評-アーデンの森散歩道-別館-

 

11月の観劇日記
 
028 8日(土) 劇団青年座/マキノノゾミ三部作連続公演 『フユヒコ』

作・演出/マキノノゾミ、装置/川口夏江
出演/山野史人、津田真澄、太田佳伸、椿真由美、五十嵐明、加茂美穂子、佐藤祐四、木下政治

紀伊国屋ホール

 

029 9日(日) 板橋演劇のつどい2008 『銀河鉄道の夜』

原作/宮澤賢治、脚本・演出/遠藤栄蔵
出演/東初穂(ジョバンニ)、松本夏海(カンパネルラ)、山内栄治(ブロカニロ博士)、酒井恵美子(車掌)、他

板橋区立文化会館小ホール

 
030 15日(土) 劇団青年座/マキノノゾミ三部作連続公演 『赤シャツ』

作/マキノノゾミ、演出/宮田慶子、装置/川口夏江

出演/今井和子、宇宙、横堀悦夫、小豆畑雅一、安藤瞳、野々村のん、他

紀伊国屋ホール

 
031 16日(日)劇団鳥獣戯画 『ダンシング・オールドでぃ・クラブ』

作・演出・振り付け/知念正文、音楽/雨宮賢明
出演/ちねんまさふみ、石丸有里子、鈴木清信、あぜち守、大沼美和子、竹内くみこ、他

下北沢/ザ・スズナリ



032 22日(土) 劇団青年座/マキノノゾミ三部作連続公演 『MOTHER』

作/マキノノゾミ、演出/宮田慶子、装置/川口夏江
出演/キムラ緑子(与謝野晶子)、山路和弘(与謝野鉄幹)、綱島郷太郎(北原白秋)、奥田達士(石川啄木)、川上英四郎(佐藤春夫)、大家仁志(大杉栄)、遠藤好(平塚明子)、菅野須賀子(那須佐代子)、田中耕二(刑事)、他

紀伊国屋ホール


033 24日 (月) こまつ座公演 『太鼓たたいて』

作/井上ひさし、演出/栗山民也、音楽/宇野誠一郎、装置/石井強司
出演/大竹しのぶ、木場勝己、梅沢昌代、山崎一、阿南健治、神野三鈴

紀伊国屋サザンシアター

 

034 29日(土) 燐光群公演 『戦争と市民』

作・演出/坂手洋二、美術/加藤ちか

出演/渡辺美佐子、田岡美也子、児玉泰次、猪熊恒和、佐古真弓、鴨川てんし、河野しずか、中山マリ、川中健次郎、大西孝洋、吉村直、他

下北沢、ザ・スズナリ

【観劇メモ】

加藤ちかの舞台装置が面白いと思った。

最初は防空壕の場面から始まって、そのあとこのドラマの舞台である鯨丸市の鯨肉を食べさせる食堂であったり、捕鯨船の甲板になったりするが、昔デイズニーの映画で見た、ピノキオが鯨に飲み込まれた、あの鯨のお腹の中のように見えた ― 鯨の腹の中での出来事の寓話 ・・・(その防空壕は僕が小学生だった頃にも残っていた)

坂手洋二の劇には、時に言い知れぬ憤怒の気持ちを掻き立てさせられ、向けようのない怒りで興奮する。

先の戦争での、まったく関係のない市民への無差別の空襲への怒り。

(北九州の空襲の話も出てきたが、長崎ではなく、予定通り小倉に原爆が投下されていたら、今の自分は生まれていなかった。そして小倉にあった造兵所跡は、僕が小学生のとき、今の団塊の世代が後に続いていて、教室が不足してきたので4,5年生は分校としてそこに通ったのだった。その頃1教室は60名近くの鮨詰めだった)

アメリカが敗戦国であったら戦犯として処刑されているであろう人物が、日本国家から表彰されている茶番劇。

枯葉剤を大量散布したアメリカのベトナム戦争の批判となるはずの国連人権会議が、当のアメリカの提案により捕鯨問題にすり替えられ、商業捕鯨のモラトリアムが決定されたというすり替えの矛盾。

昔欧米人は照明用のろうそくのために鯨を乱獲し、鯨油を取った後はすべて海に捨ててしまっていたというのに。

このドラマでも警鐘が鳴らされているが、鯨を保護することで海の食物連鎖が断ち切られ、将来、まったく逆の主張が出てきたりすれば、それこそ茶番もいいところだ。

こんな怒りをどこにぶつければいい?

 

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