― 「王冠か、奈落か、運命あやつる三姉妹」 ―
今回はどういうわけかはじめから緊張感にかけて、ほとんど終りまで何度か睡魔に襲われた。
こんなことは山崎清介の「子どものためのシェイクスピア」を見始めて以来はじめてのことであった。
自分が変ってしまったのか、それとも山崎清介のイエローヘルメッツが変ったのか。
上演中、自分の前後の席の同年配らしき観客たちが、時おり笑い声を漏らしているので面白く、おかしいのであろう。とすると、自分が変ってしまったのか?!
それで気になって「子どものためのシェイクスピア」時代の『マクベス』公演の観劇日記にあたって見た。
2009年7月に紀伊国屋サザンシアターで、文学座の石田圭祐がマクベスを演じていて、観劇日記の感想の最後に「いつものように、今回の舞台が最高に面白かった」と記していて、石田圭祐がマクベス夫人の死んだあと、舞台前面に腰かけて足をぶらつかせ、「明日、また明日」の台詞を語るシーンを思い出した。
その日記を読み返して、今回はそのときのはじけるような面白さに欠けていたように思われた。
始まりはこれまでと変わりなく、黒マントに黒のソフト帽をかぶって出演者全員がクラッピングしながら登場し、三角錐を形作って、左右に分かれて三人がそのままの衣裳で残って魔女たちとして残る。
魔女たちの始まりの台詞は'Fair is foul, and foul is fair'と英語で言った後、「いいは悪いで、悪いはいい」と続き、その後の台詞は福岡の方言で語る。魔女の台詞はこの後の登場でも常に福岡の方言である。自分の故郷の言葉で近しく親しみのある言葉遣いであるが、どこかとってつけたような響きがあって、素直に受け入れられないところがあった。
魔女には、魔女1だけがダブルキャストでアンガスを演じる鷹野梨恵子とマクベス夫人とシーワードを演じる藤井咲有里の二人、魔女2はマクダフとドナルベーンを演じる別所晋、そして魔女3がレノックスを演じる山崎清介。
2009年の時と同じような演出は、マクベスが王位に就き宴会を催す場面を会議の場に変え、そこに暗殺されたバンクオーがあらかじめマクベスの席に座っており、動揺してひるむマクベスに向って「本当のことを話してもいいのだな」と言う箇所が同じであった。
最後の場面は2009年版とは異なって、マクベスがマクダフに倒されそのまま舞台に横たわったままでいて、その場には魔女たちがいて'Fair is foul'の台詞と「そこで会うのさ、マルカムに」と言った後、マルカムが登場してくる。そしてマルカムが「スクーンの戴冠式にはこぞって参加してもらいたい」という台詞を残して立ち去った後、魔女たちがマクベスの死体を囲んで天を見上げてスポットライトが消え、暗黒となって幕となる。
マクベスには前回マルカムを演じた若松力、バンクオーは戸谷昌弘から服部容子。彼女は他にマクダフ夫人とスコットランドの貴族ケースネスも演じる。ダンカンやフリーアンスは加藤記生、マルカムとヘカティに星初音、戸谷昌弘はロスと門番、石井暸一が医師。戸谷昌弘には門番の役をもっと演じてほしかった。少し物足りなかった。
上演時間は、休憩なしで2時間5分。
訳/小田島雄志、脚本・演出/山崎清介
8月9日(土)13時30分開演、すみだパークシアター倉、
チケット:6200円(QRコード読み取り)
座席:C列15番、パンフレット:200円(おまけに紙のチケット)
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