毎年恒例となっている故荒井良雄先生を記念しての日英語朗読クリスマス会を、今年は阿佐ヶ谷から場所を変えて国分寺市の本多公民館で無事に開催することができた。
参加者も飛入り2名を含めて18名と大変盛況であった。
第一部は、参加者が好きな作品を選んで、日本語のみによる朗読及び日英語による朗読で、内容も多岐にわたって多彩であった。朗読作品そのものも興味深いものであったが、今回特に印象深かったのは、名古屋から参加している上野政詞さんのマーティン・ルーサー・キング・ジュニアの『私には夢がある』の英語での朗読は、テキストを見ずにおよそ10分間にも及ぶ内容を暗記して朗読されたことであった。力強い朗読で、朗読というよりもう演説となっている力強い朗読であった。
第一部の内容については添付の当日のプログラムを参照されたい。
第二部は、シェイクスピア・タイムとして、シェイクスピアの作品の寸劇形式の朗読。
最初は、第一部から気分を変えて、清水英之氏のシェイクスピア・ソング。ご自身の作詞作曲による『お気に召すまま』から3曲、日英語でギターを弾きながら柔らかな声調で歌われ、聴く者をして包み込むような優しさにあふれたものであった。
2番目は、『十二夜』の3幕2場と4場を小田島雄志訳で、サー・トービーを高橋美恵子、フェービアンを蒼谷明依、サー・アンドルーを倉橋秀美が演じた。フェービアンを演じた蒼谷明依の見事な台詞力と所作の巧みさに驚いたのだが、何と彼女は11月にシェイクスピア・シアター公演の『十二夜』にフェービアン役で出演していたことを後で知った。観劇日記を確認すると、彼女のフェービアンの演技をほめていたのに気がついた。サー・アンドルーを演じた倉橋秀美は、当初のプログラムには予定されてなかった特別出演でピンチヒッターであったが、さすがにプロとしての技量で応じていた。
ここで、この日偶然にも同じ場所で、今月末から来年の1月初めにかけて『ロミオとジュリエット』を公演する劇団キングスメンが稽古をしていて、同劇団の代表で共同演出している平澤智之と高村絵里が突然現れて特別参加し、『ロミ・ジュリ』の2幕2場のロミオとジュリエットの寸劇を披露した。
本来の順番に割り込まれた能見学さんの演目も『ロミオとジュリエット』の2幕2場のバルコニーシーン。プロの演技の後でさぞやプレッシャーだと思われたが、驚いたことにまったくの平常心で、淡々と自分のペースで日英語で朗読されたのには感心させられた。
続いては、このクリスマス会では恒例となっている清水英之訳・台本構成による『マクベス』の日英語による朗読劇で、5幕よりサブタイトル「裏切られた予言」として、瀬沼達也、清水英之、関谷啓子、高木の4人で演じた。関谷啓子のマクベス夫人の夢遊病場面の迫真の演技と台詞力、瀬沼達也のド迫力のマクベスの演技と台詞は参加者を魅了したことと思う(自分は出演者の一人なので、その反応は自分の感想でしかないのだが)。
最後は「スペシャル」として、『十二夜』の3幕4場から「オーリヴィヤとマルヴォーリオー」と題して、関谷啓子のマルヴォーリオーと高木のオーリヴィアの寸劇。プログラムに出演者の名前をふせて「スペシャル」としたのはいろいろ事情があってのことであったが、男女の役を取り変えての寸劇は、重い雰囲気の『マクベス』で終るより、明るくおかしな劇で終える方が結果的に良かったのではないかと、発案者の関谷啓子の自賛。
全体的には予定より時間をオーバーしたが、参加者全員が満足できる、充実した朗読会であったと思う。
12月8日(日)14時より開始。国分寺市本多公民館・実習室3にて
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