| 初めての会場であったが、方向音痴の自分でも最寄駅から一本道で目的のビルまでは迷わずに辿り着けたものの、入り口を探すのに手間取り、着いたのは開場直前であったが自分の好みの席を無事にゲットできた。
会場はビルの地下1階で、平土間の舞台に観客席は横7列、縦4列で30席足らず。最前列は背もたれの無い低い腰掛だったので、前から2列目の背もたれのあるパイプ椅子の中央の席を選んだ。
この劇団については全く知らなかったが、当日入手したチラシに、「演劇ユニットPEACE SHAKEは、シェイクスピア作品をベースに独自のアイデアを加えたオリジナル作品を上演する演劇ユニット」とあり、2023年8月に第1回公演として『モンタギューとキャピュレット』を上演し、今回が第2回公演となっていた。
『オセロー』は、日本では四大悲劇の中で最も上演回数の少ない作品であるが、この劇の作者である真田真は、「いつかオセローをやりたい」と以前から言っていたというが、早くも2作目で実現させている。
この劇は、探偵とその助手が最近起こった事件の新聞記事の内容に疑念を抱いてその真相を追及していくという筋立てで進行していく。
その事件とは、嫉妬に狂ったオセローが妻のデズデモーナを殺したという事件で、新聞記事ではこの作品の原作通りの内容通りとなっていて、劇の展開も原作を再現して進行していく。
しかし、死んだと思われていたエミリアが意識を回復し、彼女によってその真相が明らかにされていき、それが舞台上に表出される。
デズデモーナの父ブラバンショーはキャシオーを将軍にという遺言を残して亡くなる。そのことが書かれた手紙を手に入れたキャシオーは、以前からオセローに反感を抱いていて、それを機会にオセローを殺す計画を企てる。
黒人であるオセローが将軍であることに嫉妬の念を燃やし続けていたキャシオーは、小心者のイアーゴーを味方に引き入れようとするが、イアーゴーはそれを拒む。そのイアーゴーをかばってエミリアはキャシオーに誤って殺されてしまう(が、一命を取りとめることになる)。
キャシオーはオセローに、ヴェニスの元老院からの手紙を見せ、自分が将軍になる事を告げると、オセローはそれは急進派の陰謀で、そんなことをすればトルコ軍に利するだけでヴェニスの内紛の元になるとキャシオーを一蹴する。
しかし、キャシオーは毒をぬった剣でオセローを切りつけるが、彼をかばったデズデモーナを切ってしまう。彼女を助け起こそうとするオセローを後ろからその剣を浴びせる。
そこへ駆けつけてきたイアーゴーに、オセローは政治的混乱を避けるために、このことの顛末について、オセローが嫉妬に狂って妻を殺したという家庭悲劇として伝えるように言い残して死ぬ。
イアーゴーは、その言葉を守って事件の真相をそのように伝える。すなわち、自分の讒言でオセローは妻のデズデモーナの貞操を疑って殺し、自ら命を絶ったと伝えることにする。
そこに再びキャシオーが登場し、歴史は勝者がその記録を残すのだと言って、勝ち誇った台詞を残してこの劇の幕を閉じる。
オセローの嫉妬の原因をイアーゴーではなく、人種偏見とオセローの将軍としての地位に対するキャシオーの嫉妬に移し替えたところにこの劇の眼目があり、政治的陰謀事件を家庭悲劇へと引き下げ、その視点をずらした着眼点の面白さを楽しむことが出来る。
出演は、イアーゴーにこの劇の作者である真田真、キャシオーに劇団キンダースベースの森下高志、オセローに伊藤嘉信、デズデモーナに向山紬麦、エミリアに古河ゆかり他で、総勢8名。
上演時間は80分。3日間で全公演6回の初回の舞台を観た。
脚色・上演台本/真田真、演出/牧凌平
7月13日(土)14時開演、高円寺K's スタジオ本館、料金:2500円、全席自由
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