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今年3月に上演された『リチャード三世』(第一部)に続く第二部の公演であるが、単なる続編ではなく第一部、第二部とも独立した作品と見ることが出来る。というのも、この第二部でも最初のリチャードの悪党宣言なる独白が繰り返し演じられるだけでなく、最初から最後の場面までが演じられ、第一部の上演と重なる場面が多々あり、第一部を見ていない人にもこの劇全体を同じように味わうことが出来る構成となっているからである。第一部でも劇の展開は最後の部分まで上演されていて、劇の内容としては一応完結されていた。
第二部では前半部では第一部で省かれていた場面も取り入れ、最後の5幕の部分は全部の場面を取り入れている点が構成としては大きく異なっている。
コロナ禍以来中止となっていたSAYNKの主宰者瀬沼達也の30分間レクチャーも前回から本格的に復活し、この第一部と第二部のチラシ(今はフライヤーというらしいが)の絵の構図についての説明がなされた。
第一部の絵柄を鏡を使って撮影し、それを反転して構成したということで、中心にある瀬沼達也の顔が左向きから右向きに変わっているだけでなく、劇中の表象となる白馬と犬の位置も左右入れ替わって向きも変わっている。
その表紙の絵に込められた意図として瀬沼達也は、リチャード三世は悪の権化のように思われているが、史実では立派な王でもあったという評価もあり、今回はリチャードのその良い面を浮かび上がらせたいという一つの思い入れがあると言う。
レクチャーでは主宰者が参考にしている著書のうち特に感銘を受けた数冊を持参してその内容の一部が紹介されたのも今回の特色の一つであった。
全体的な感想を集約すると、第一部の上演では後半部で、アンを演じる高村絵里とエリザベスを演じる林佳世子の台詞の競演、バトルが見もの、聞きどころとなっていたが、今回は、その高村が体調不良で参加できず、アンの登場場面はすべてカットされていた。今回の一番の見どころ、聞きどころとなっていたのは、瀬沼達也が演じるリチャードが、林佳世子演じるエリザベスに、彼女の娘であるエリザベスへの求婚を頼む場面であった。二人の台詞における迫真の激しいバトルに息を呑む思いで見入り、聴き入った。
今回も第一部同様に、関谷啓子演じるマーガレット登場の場面があり、前回の場面を思い出させた。
前半部のエドワード四世や後半部のリッチモンドなどを演じる客演の清水英之は、今回は後半部の場面を多く取り入れているということで前回より台詞の出番も多く、特に最後はリッチモンドの台詞で終るだけに重要な役でもあるが、彼の柔らかみのあるソフトな台詞回しでこの劇の感動を強く印象的なものとした。
SAYNK主宰の瀬沼達也と元静岡英和学院大学教授であった清水英之とは、大学こそ異なるものの学生時代からシェイクスピア英語劇を演じていた関係があり、前回と今回とで二人の競演が「共演」が実現したのも一つの縁であろう。
舞台の袖で音響操作に携わりながら演じている飯田綾乃にもいつも感心してその英語の台詞力を楽しませてもらっており、レギュラーメンバーの貫禄十分な増留俊樹、SAYNKメンバーとしてその英語力を発揮している東遥香、そして横浜山手読書会から能見学が前回に続いて今回も出演。
日本語訳/松岡和子、台本構成・演出/瀬沼達也
シェイクスピアを愛する愉快な仲間たちの会(SAYNK)主催/横浜山手読書会共催
6月30日(日)13時30分開演、横浜人形の家「あかいくつ劇場」
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