学習院女子大学公演 Stage Play Japanによる Romeo and Juliet   No. 2024-020

 昨年と同じ時期に同大学で公演されたStage Play Japanによる『シェイクスピアの名場面―愛の台詞とワークショップ』で、『ロミオとジュリエット』の「バルコニーシーン」のロミオとジュリエットを演じたブランドン・フランシスと、この劇団の代表を務めるパウラ・ベルヴァンゲルが今回も同じ役を演じた。
 プロローグのコーラスの台詞は、最初の数行は原作通りで語られ、その音韻を楽しむことが出来るかと思っていたら途中で台詞が変わってそこで終ってしまい、続いてのモンタギュー家とキャピュレット家の家僕たちの路上での喧嘩騒動は、ベンヴォーリオとティボルトの二人の争い、そして大公が仲裁に入ってあっけなく次の場面へと移る。
 場面の省略と台詞のカットが多く、場面転換のたびに小道具の出し入れで時間を取り暗転を繰り返すので舞台の熱量が感じられず、ストレスともの足りなさを感じた。椅子など小道具の移動などは最小限にして、暗転も少なくして上演する方が観ていてストレスが少ないのにと思った。
 キャピュレット夫人の役の台詞は、キャピュレット役のジョナ・ハガンズが演じてキャピュレット夫人そのものは登場しない。このような演出は以前にも見たことがあるので違和感はないものの、キャピュレットが最初に登場してきたのはパリスとの会話の場面で、その二人の衣装と話しぶりから当初はキャピュレット夫人と乳母役かと思ったが、台詞の内容で自分の思い違いにすぐに気がついた。
 台詞と場面の細切れの演出については、上演後に続く同大学の学生たちを対象にしたワークショップを見て、学生を対象にした意図を感じ、ある程度納得した。
 普通の舞台として見れば不満を感じるものがあったが、意図した演出と考えれば、クリアで聞き取りやすい台詞の発声で好感の持てる舞台であった。
 ロミオの死とジュリエットの死の場面が盛り上がりのないまま淡々として終るので、コーラス役を兼ねた大公のエンディングの台詞も、自分には熱量が感じられないままであった。
 主役以外の登場人物と出演者は、コーラスと大公及び乳母役にジャクリーン・ルセティ、ベンヴォーリオとキャピュレットにジョナ・ハガンズ、ティボルトと修道士ロレンスにジム・オコナー、マキューシオ、修道士ジョン、薬屋、パリス役に佐々木雅成。
 途中休憩15分間を挟んで2時間の上演後、学生さんたちを対象としたワークショップが20分。学生さんたちの事前準備を感じさせるものであった。そのなかでも、全盲の学生さんの朗読には感激して聴かせてもらった。

 

演出/グレッグ・デール
5月25日(土)14時開演、学習院女子大学・やわらぎホール、入場無料(招待)


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