Sophia Shakespeare Company 第18回公演
        Twelfth Night or What You Will       
  No. 2024-001

 Sophia Shakespeare Company(SSC)の第18回公演はいろいろな意味で注目すべき点があった。
 3年間の新型コロナウィルス感染の流行で実質的な活動が制限されていた、というより活動できなかった影響が大きく表れていた。
 その一番の影響は新しいメンバーが入ってこなかったことである。そのため今回の公演は4年生だけ、しかも上智大学以外の他大学の学生や社会人の応援でやっと出演者を集められ、全員揃っての稽古も十分に出来なかったことだろう。寄せ集めの出演者のため全員揃っての稽古もままならない中での公演であった。
 今一つの大きな問題は、一昨年の"Macbeth"の公演以後、東郷教授がSSCから退かれ学生中心のインカレサークルの活動となったために、演出者不在となったことで、今回の公演も演出者なしでの上演となったという。
 各人が思い思いに演じるということで、タイトルの"What You Will"が意味深長に響いてくる舞台であった。
 舞台と観客との間の空気が十分に交流しあわずに、冷めた感じの舞台でもあった。
 その中にあって観客の(というより僕を)惹きつけていたのは、マライアを演じた泉谷果穂さん。彼女は台詞の発声力も良かっただけでなく、所作、とりわけ目の動きの表情がとてもよく、ぐっとひきつける力があり、観客との距離感を縮める表情で、観ていて飽きなかった。
 オリヴィアを演じた宮崎優さんがこの舞台全体を支配する力を持った演技で、演出者のいない舞台を統率していたのも注目される。
 この劇の中心人物の一人とも言えるヴァイオラは、明治学院大の山口夕稀南さんが全力で演じていたのも特筆できる。彼女は、大学でシェイクスピアのソネットを読まれたという。
 道化のフェステを演じたのはネイティブスピーカーである山田エツダさん。彼女の劇中歌の歌唱力が聴きどころで、最後の締めの歌を心地よく聴かせてもらった。
 全員、稽古が十分に出来なかったということもあってか、終演後に見せてもらった掌に台詞の一部を書いていたのもご愛嬌のひとつであった。
 そのように涙ぐましい舞台でもあったが、各人の演技をそれなりに楽しませてもらった。
 終演後、一部の出演者の方たちと話を交わすことが出来て、この観劇日記の参考にもなった。
 出演者は、12名。社会人一人を除いて全員が4年生ということもあり、後輩が一人もいないのでこのサークルの存続が危ぶまれ、少し淋しい思いがする。
 上演時間は、約100分。
 公演は、この日の昼と夜の部、そして明日日曜日の昼の部の3ステージ。最後まで頑張ってほしい!!

 

1月13日(土)13時開演、阿佐ヶ谷・シアターシャイン


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