自分にとって恒例となってきた年末最後のシェイクスピア劇観劇は、gaku-GAY-kaiの贋作シェイクスピアシリーズ第7弾、新宿を舞台にした『贋作・お気に召すまま』。
ロザリンドの父親で前の公爵は、弟のフレデリックに公爵領である歌舞伎町を簒奪され、遠く離れた(新宿)御苑に追放されている。
宮中でのレスリングの大会で、フレデリックに仕える力士のチャールズを打ち負かしたオーランドは、彼を憎んでいる兄のオリヴァーに命を狙われていることを召使のアダムに知らされ、アダムと一緒に兄の家を出て御苑に向かう。
一方、ロザリンドはフレデリックの娘シーリアの願いで姉妹のように過ごしていたが、レスリングの試合で勝利したオーランドに恋をし、彼女を憎むフレデリックから父親と同じように追放されることになり、「ジュピターの小姓」のギャニミードと名前を変えて男装し、彼女を慕うシーリアも「身寄りのない人」を意味するアリーナと名を変え、二人は道化のタッチストーンを伴って御苑へと向かう。
その御苑は恋の森であり、倒錯の森でもあり、前の公爵に仕える憂鬱で皮肉屋のジェークイズは、ゲイとして女装した姿で登場する。森の中で、男装したロザリンドはギャニミードとしてロザリンドを恋するオーランドに、ロザリンドに扮して恋の手ほどきをする。
道化のタッチストーンは田舎の娘オードリーに恋をし、羊飼いのシルヴィアスは羊飼いの女フィービーに恋しているが、フィービーは男装したロザリンドに一目惚れしてしまう。
オーランドを捕らえるように命じられた彼の兄のオリヴァーも同じように御苑にやって来るが、熊に襲われそうになったところをオーランドに助けられ、二人は和解する。
兄を助けようとして傷を負ったオーランドはロザリンドとの約束の時間に行くことが出来ず兄に代りに行ってもらうが、オリヴァーはそこでシーリアと相思相愛の仲になる。
最後は、ロザリンドが八方丸く収める役をするが、ここで原作を少しひねる。
アリーナが本当は女装したシーリアであることを知ったオリヴァーは騙されていたと知り、オリヴァーは男と結婚することになり、ロザリンドも実は女装した男であり、オーランドも男と結婚することになると公爵にクレームをつける。
前の公爵は、御苑は歌舞伎町と違って何でも許されるのだと言って、ロザリンドとオーランドの結婚を許し、オリヴァーも納得してシーリアと結婚し、ギャニミードが実は女であると知ったフィービーも約束通りシルヴィアスと結婚することを決心し、ここに四組のカップルが誕生する。
御苑では同性同士の結婚が許されるというのが、ガクゲイカイ(学芸会=楽ゲイ会=ゲイを楽しむ会)の主テーマとしての締めのオチとなっているのが、贋作シェイクスピア劇の見どころである。
話の骨格はシェイクスピアの原作と変らず、14名の出演者で22人の登場人物を演じて肝心な人物はほとんど全部登場させている。
主なキャスティングは、ロザリンドにエスムラルダ、シーリアに石関準、オーランドに冴瑪悠、オリヴァーに和田好美、ジェークイズにオバマ、タッチストーンに岸本啓孝、追放された公爵にさいとうまこと、フレデリックに中嶌聡、など。
作・演出で劇中、女神ハイメンを演じる関根信一が、マエセツで録画、録音自由と言うのに驚かされたが、上演中、前方の観客が一部、スマホで録画しているのが見かけられたが、ほとんどの観客が観ることに専念していたようだ。
今年も、たっぷりと楽しませてもらった。
上演時間は、90分。
作・演出/関根信一
12月29日(金)14時開演、新宿・スターフィールド、チケット:2000円、座席:D列9番
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