2023年観劇日記
 
   第20回、明治大学MSPミュージカル公演
   『オフィーリアの部屋』/『苦悶・煩悶・クローディアス』  
   No. 2023-031

 明治大学シェイクスピアプロジェクト(MSP)第20回公演は、9月の『新ハムレット』ラボ公演、11月の『ハムレット』本公演に続き、締めくくりにこの12月、オフィーリアとクローディアスをタイトルロールに初のミュージカルを公演。
 今回の部は、当初予定されていた会場が予約が殺到していっぱいになったということで、急遽変更。
 グローバルホールの前方を舞台にして、何もない狭くて小さな空間を目いっぱい使い、両脇を袖にしての出入り。
 前半部の『オフィーリアの部屋』では、タイトルロールのオフィーリアを中心に4人のコーラス、そのうちの二人がハムレットやポローニアスを演じ、ちょっぴりサスペンス的ミステリーを含ませた小劇ミュージカル。
 オフィーリアの部屋に友人を招いてケーキを御馳走、そのケーキには眠り薬が仕組まれていたようす。オフィーリアは、ハムレットからの手紙を王に見せる父親ポローニアスに「そんなのありッ!」と現代っ子らしい憤慨。ハムレットとの破局、父親が元カレのハムレットに殺され、自分の命も危ないのではないかと狂気を装い、水死の偽装を思いつく。水死では顔がむくんで見分けがつかなくなるということで、体つきが似通っている友人を身代りに仕立てる決意をしたところで終る。そのオフィーリアを演じた富宅千紗葵の歌唱力とはじけるような演技が好ましかった。
 続く『苦悶・煩悶・クローディアス』は、志賀直哉の『クローディアスの日記』に基づく翻案劇だという。そのクローディアスを前半部でコーラスを演じた片山佳音が演じる。前半でオフィーリアを演じた富宅千紗葵はコーラスに回るが、この劇中でも、ほんの少しオフィーリア役も演じる。
 この両方の小劇に共通していたのは、ちょっぴりミステリアスな終わり方。
 タイトルロール以外の出演者はコーラスとして、林泉里、神野まりな、井草玲奈。
 演出は、『オフィーリアの部屋』でコーラスと共にハムレットをも演じた林泉里。
 作曲は、明治大学の卒業生林田りか。
 両方合わせて1時間足らずの上演時間であったが、ミュージカルに仕立て上げた着想の面白さとユニークさで、充実した内容と歌と演技を、楽しく満喫させてもらった。


演出/林泉里(文4)、作曲/林田りか(文卒)、振付/渡辺りりあ(政経3)
12月9日(土)11時開演、明治大学駿河台キャンパス・グローバルフロント1F、グローバルホール


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