2023年観劇日記
 
   俳優集団Stage Play Japanによるシェイクスピアの名場面
             学習院女子大学国際文化交流学部主催
                愛の台詞とワークショップ
          No. 2023-014

 学習院女子大学では、2007年から2019年まで英国劇団ITCL(インターナショナル・シアターカンパニー・ロンドン)による公演を実施してきたが、2000年から新型コロナウィルス感染症の感染拡大により中止せざるを得なくなり、今年もITCLの日本公演再開できないままであるが、英国劇団受け入れの仲介団体であるStage Play Japan (SPJ)により、日本在住の俳優による公演が実現した。
 学習院女子大学の古庄教授による上演される作品の概説を加えた司会進行により、前半部がシェイクスピアの5つの作品から愛の台詞の名場面を4人の俳優で演じ、10分間の休憩をはさんで、後半部は前半部で演じられた作品の一部の台詞を、予め選ばれていた学生たちが実際に舞台の上に立って演読するワークショップ。
 その第一部に選ばれた作品と場面は、
(1)『ロミオとジュリエット』、プロローグと2幕2場の「バルコニーシーン」
(2)『十二夜』、2幕4場のオーシーノ公爵とヴァイオラとの男の愛と女の愛についての会話
(3)『ハムレット』、3幕1場のハムレットの'To be, or not to be'のモノローグとそれに続くオフィーリアとの「尼寺のシーン」
(4)『から騒ぎ』、4幕1場のベアトリスがベネディックに「クローディオを殺してくれ」という場面
(5)『夏の夜の夢』、3幕2場、森の中でライサンダー、ディミ―トリアス、ハーミア、ヘレナの愛のドタバタ騒動
 最初の『ロミ・ジュリ』のプロローグの台詞と、最後の『夏の夜の夢』だけが、4人の俳優で演じられ、そのほかは二人の俳優での演技。ロミジュリのバルコニーシーンは、SPJの代表でもあるブラジル出身で東京育ちというパウラ・ベルヴァンゲルのジュリエット、ロミオは英国出身のブランドン・フランシス、『ハムレット』では英国出身で日本在住のクリス・パラムがハムレットでベルヴァンゲルがオフィーリア、最後の『夏の夜の夢』ではパラムがライサンダー、フランシスがディミ―トリアス、ベルヴァンゲルがハーミア、ヘレナにはNHK朝ドラの「花子とアン」に出演したサラ・マクドナルド、そして声の出演としてパックを演じたのは舞台監督のグレッグ・デール。デールは米国出身で日本在住が25年になるという。 『十二夜』のヴァイオラと『から騒ぎ』のベアトリスを演じたのはサラ・マクドナルドだが、男役の方は記憶がはっきりしないが、オーシーノ公爵はフランシス、ベネディックはパラムだったと思う。
 いずれも名場面なので、内容的にもよく知っているだけに、台詞を聴くのと演技そのものをじっくりと堪能させてもらった。
 後半部のワークショップも楽しく拝見させてもらった。最初に舞台に上がった3人の学生さんたちは、いずれも1年生で、舞台の上に立って、しかも英語での朗読演技は初めての経験だと思われ、ロミジュリのバルコニーシーンの場面を演読したが、声もおっかなびっくりで細かったが、出演者の指導で気分もそれらしくのっていった。
 『から騒ぎ』のベアトリスを演読した3年生の学生は、台本も見ずに、相手役のベネディックを演じるパラムと堂々と台詞と演技を交わしていて、舞台度胸も慣れたものに感じられ、英語も演技も完璧なのに感心した。
 全体で1時間30分の予定であったが2時間近くあり、コンパクトにまとめられた各場面の俳優さんたちの演技と、学生さんたちのワークショップを十二分に楽しむことができた。


舞台監督/グレッグ・デール
5月27日(土)14時開演、学習院女子大学・やわらぎホール

 

【付記】
 舞台監督グレッグ・デールについては、いま進めているシェイクスピア観劇日記出版のゲラ刷り校正を読み返しているとき、偶然に、1997年、俳優座第236回公演、てらそま昌紀主演の『ハムレット』の演出をしていることを発見し、感無量であった。


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