2022年観劇日記
 
   クリム=カルム制作 『夏の夜の夢=偽罪』               No. 2022-003

 タイトルにある「偽罪」が気になってこの劇に関心を抱いたが、これは制作者クリム=カルムに関連しているのであろうかと観劇後に思った。制作者のクリムとカルムの、'crime'はフランス語で「罪」、'calme'もフランス語では「平静」などの意味であることからそう考えてみた。
 この劇は一口で言えば、「シェイクスピアでシェイクスピアを遊ぶ若者たちの劇」=「『夏の夜の夢』で『ロミオとジュリエット』を遊ぶ若者たちの劇」と言えるであろう。また、女性パワー全開の劇でもあった。
 出演者11名のうち男性は『夏の夜の夢』のイジーアスを演じる男優とライサンダーを演じる男優のわずか二人で、その他の役はすべて女性が演じる。
 舞台は奥行き4mX幅8mほどの平土間に芝生をイメージさせたグリーンのカーペット、天井から前後2列に4ケずつの裸電球、合計8個が、大人の身長のへそのあたりまで吊り下げられているだけで、他には何もない。
 劇は『夏の夜の夢』で始まり、劇中劇を演じるアテネの市民たちの代わりに旅役者たちが『ロミオとジュリエット』の稽古を始め、その後、劇はこの二つの劇が融合され、交錯して進行していくことになる。
 『夏の夜の夢』のティターニアは魔法の薬でティーボルトとなり、イジーアスは行きがかり上マキューシオとなる。
 最後の場面は、ロミオの死刑の判決に絶望したジュリエットが自殺し、ロミオがその後を追って自殺したところで場面がストップ、幕となる。
 ハーミアとヘレナ、ライサンダーとデミートリアスとの恋のもつれの大騒動とロミオとジュリエットの場面が一つの場となって入り組んで進むため、その交錯を頭のなかで整理して見ようとして頭が疲れてしまった。
 キャストは一部ダブルキャストで、男優は2名しかいないため、A、Bのパートでイジーアスとライサンダーの役を入れ替わって演じる。自分が観たのはAパート。
 上演時間は、90分。

 

脚本/西荻小虎、演出/sola
1月9日(日)13時開演、花まる学習会王子小劇場、チケット:4500円、全席自由席(A4)


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