ケネス・ブラナー監督・主演の映画『から騒ぎ』を引き合いにしたチラシのキャッチコピーに心を惹かれ、どのような舞台を描いてくれるかわくわくした気分で観劇。
映画では冒頭のシーンが特に印象的であったので、そこにまず関心が向けられた。
最近のPARK BANGILの演出ではダンスシーンから始まることが多く見られるが、今回は華やかに衣装に包まれた女性たちとレオナート、それにドグベリーや夜警までを登場させた明るい雰囲気の中、使者が登場し、続いてドン・ペドロ一行が到着して彼らを迎え入れた後、ダンサーが入って賑やかな歓迎の場となるという演出で、映画の華やかな場面を彷彿させた。
映画ではベアトリス役のエマ・トンプソンの演技と台詞に魅了されたが、REBORNの舞台でもベアトリスを演じた君島久子が華やかに光り輝いていた。
その演技は相手役のベネディックを演じるパク・バンイルがいて映え、ドン・ペドロのムンス、レオナートの調布大などが脇をしっかりと固めて舞台を盛り上げた。
キャスティングの特徴として注目されたのは、レオナートの弟アントーニオを姉のフランチャスカとして変え、コンラッドやドグベリー、ヴァージズ、夜警などの登場人物を全員女優陣に演じさせていたことであった。
ベアトリスとベネディックの二人を演じる君島久子とパク・バンイルの丁々発止の台詞のやり取り、喜劇的人物のドグベリー役の蒲生恵美のせりふ回しなど、言葉の面白さを存分に味あわせてくれた。
この劇の内容を知らない観客にとってはサスペンスを感じさせる興味をそそる舞台であり(休憩時間中、観客の会話から聞こえてきた感想)、内容を熟知している観客にとっても展開がどのように演出されていくか関心のある舞台であったとともに、台詞のやり取りの面白さを存分に味あわせてくれる舞台であった。
出演は、ヒーローに月紫エミ梨、クローディオに山崎慎太、フランチェスカに柴田恵子、ボラチオに深沢誠、ドン・ジョンに石原滉也、ほかダンサー4名を含めて、総勢19名。
上演時間は、途中10分間の休憩をはさんで、1時間50分、コンパクトに濃縮された舞台であった。
なお、この舞台は今年3月の公演予定であったがコロナ感染の影響があって中止され、今回はその時の出演者の一部が変更されての上演となっている。
台本構成・演出/PARK BANGIL
7月25日(日)13時開演、座・高円寺2、料金:5000円、座席:D列17番
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