高木登 観劇日記2021年 トップページへ
 
 ~嗚呼!大正浪漫篇~『 シアターRAKU公演・あちゃらかオペラ 夏の夜の夢』  No. 2021-008

 1998年に創立された流山児祥が主宰するシニア劇団「楽塾」が、創立21年目の2018年に「シアターRAKU」に名称を改め新たなスタートを切って、今年が3年目。
 『夏の夜の夢』はこれまで、2005年と7年に野田版『楽塾歌劇☆真夏の夜の夢』を上演しており、今回は山元清多が「オペラシアターこんにゃく座」のために書き下したオペラ台本で、舞台は大正12年、夏の軽井沢。
 大久保公爵と女優の弥生の婚礼を3日後に控えた夏の日。
 登場人物はそれぞれ日本人の名前に変えられ、ハーミアはちひろに、その父親イージアスは銀行頭取の桂ホ、妖精の王と女王は、コダマの王ヤマトと女王カスガに、パックはいたずらコダマのガタロに、アテネの職人たちは、それぞれ大工の棟梁、ボン太、古井戸、砂吉に変えられている。
 話の展開は基本的にはオリジナルとほとんど変わらないが、大久保公爵と女優の弥生のなれそめは、公爵が既婚の弥生を夫から奪っての結婚という設定にしている点や、ボトムがロバに変えられるところがタヌキにかえられ、劇中劇でピラマスは剣で自殺するのではなく桶に顔を突っ込んで水死して、シスビーは死なないまま終わるところなどが原作と少し異なっているぐらいである。
 その名も「あちゃらかオペラ」となっているように、「歌って、踊って、恋をして」の劇を、笑って、気楽に楽しむことができた。 
 劇中で歌われる歌やメロディは、大正というより昭和の懐かしさを漂わせるものが満載で、挿入歌のメロディでも笑わせてくれるものが多々あった。
 平均年齢が67歳となっているが、とてもそんな齢とは思えない程に軽やかに歌って踊る姿を楽しく観ることができ、心温まる劇であった。
 出演は、大久保公爵と大工の棟梁を演じた後藤英樹は客演、銀行頭取・桂ホ役の流山児祥、妖精の蜘蛛の糸とカラシの種の役を流山児事務所所属の男優2名が演じたほかは、ちひろ(ハーミア)の原きよ、さつき(ヘレナ)の川本かず子、ガタロ(パック)の桐原三枝を含め、その他の登場人物はシアターRAKUの「熟女」たちで、総勢16名。
 上演時間は、休憩なしで1時間30分。

 

台本/山元清多、演出/流山児祥、振付/北村真実、作曲/多良間通朗
7月9日(金)14時開演、三鷹市公会堂・光のホール、チケット:3800円、全席自由席


>> 目次へ