高木登 観劇日記2018年 トップページへ
 
   明治大学シェイクスピア・プロジェクト(MSP) 第17回公演 
       ユーチューブ配信 『じゃじゃ馬ならし』       
No. 2020-023

 新型コロナウィルス感染問題で、無観客で配信のみの公演となりYouTubeでの観劇となって、自分が懸念していいた通り、不慣れな操作で最初の20分間ほどを見損なってしまった。
 配信にあたっての稽古場風景や、制作にあたってのビデオからの切り替えをミスってしまったのだった。
 制作部各部門のスタッフからの挨拶と、それに対しての観劇後の感想を最初に記しておきたい。
(1)映像・スチール部による挨拶では生配信についての説明があったが、観終わっての感想は期待を上回るものであった。個人的には生の舞台と映像は別物だと思っているので、録画や映像では資料として鑑賞することはあっても、観劇を目的としては観る気がしないのであるが、映像としてここまで完成度が高いことに驚かされたともに感服させられた。
(2)制作部の挨拶
(3)学生翻訳チーム・コラプターズの挨拶では、見どころとして一つ一つの台詞に注目してほしいということと、ペトルーチオとキャタリーナの掛け合いに注目してほしいとあったが、いつも感心させられることながら、若い学生さんたちの身近な言葉で親しみのある翻訳に親近感を感じさせられた。
(4)照明・オーディオ部では、映像配信ということで昨年までとは異なった照明と、最後の照明に注目してほしいとあって、最後の場面には特に注目して観た。
(5)衣装部では映像用に、特にメイクをこれまでより薄くしたという。そこまで配慮しているのだ!!
(6)楽隊チームは、5分間の休憩時間にも演奏を続けると言うことに注意を向けられた。
(7)舞台美術部は、映像ということで「部分ではなく全体で見てほしい」という注文と、配信ということで細かいところまで見えることから細部にこだわったという。
(8)音響部では楽器・効果音の調整で、配信と生の舞台のギャップとの違いに配慮したので、聴覚にも楽しんでほしいと配慮したという。
(9)演出部助手は、コロナ感染下の中、稽古を快適にできる環境づくりに配慮したという、縁の下の配慮を披露。
(10)プロデューサーは、見どころとして新しい試みばかりで今年ならでは活躍として「ずばり、全部です!」の一言。
(11)演出の新田みのりさんは、「芝居の中の芝居」として劇中劇を生かせるように演出との弁。
 生配信開始の前にこれだけのことを聞いたのだが、その生配信への切り替えに戸惑ったために、見始めたのはルーセンシヨーが召使のトラーニオと衣装を取り換えて入れ替わる場面からだった。
 舞台後方では白い額縁の中に3人がこの様子を眺めているが、これは鋳掛屋スライと小姓達が役者たちの芝居を観ているところを示しているのが分かる。
 この初めの部分の演出を見逃したのが痛かった。
 演出として目新しい部分としては、キャタリーナとの結婚式の当日、ペトルーチオがなんとキャタリーナと同じ花嫁衣装で現れたことと、ペトルーチオの邸の召使カーティスのかわりに、女中のマライアとして登場させていて一瞬、『十二夜』を思わせた。
 照明部が特に注目してほしいと言っていた最後の場面では、この劇がいったん終わるところで暗転してその後照明の色調が変って、旅回りの役者が登場し、鋳掛屋のスライと居酒屋の女将の騒動の場面が演じられ、そこで突然の暗転。
 照明がともった後、楽隊の演奏に続いてカーテンコール。
 この最後がとてもよく、感動的で、終わりよければすべてよし、であった。
 出演者は総勢16名。
 上演時間は、途中5分間の休憩を入れて、2時間。

 

翻訳/コラプターズ(学生翻訳チーム)、プロデューサー/吾妻春奈
演出/新田みのり、監修/西沢栄治、主催/明治大学
11月8日(日)12時より、YouTube生配信

 

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