本来今年の12月に東京シェイクスピア・カンパニー(TSC)30周年記念として本公演が上演される予定であったが、新型コロナ感染の影響で早い時期に中止のお知らせが出されていて残念に思っていたところ、思いがけずドラマティック・リーディングという形で上演されるということで観劇する機会を得ることが出来た。
「一粒で二度おいしい」という何かの宣伝ではないが、今回のドラマティック・リーディングでは来年上演予定の本公演に先駆けて二度味わう楽しみをもらえることになった。
というのは、本公演でヒロインのハーマイオニ役を演じることになっているつかさまりが、このドラマティック・リーディングではポーライナ役を演じたことであった。ハーマイオニ役も適役だと楽しみにしているが、ポーライナ役もぜひ一度観てみたいと思っていたので、それが図らずも実現して嬉しく思った。
本公演出演予定者が今回半数近く出演していたほか、自分としてTSC公演で初めてその出演を観る流山児★事務所の山丸莉菜がハーマイオニとその娘パーディタを演じ、素晴らしい演技を見せてくれた。特に最後の場面、ハーマイオニが彫像の姿として立っている姿で、動き出す前からすでに彼女の目は赤くうるんで、台詞を語る場面になると鼻水がしたたり落ちるほど感極まっていたのに心を揺さぶられ、いたく感動させられた。
つかさまりのポーライナと山丸莉菜のハーマイオニは、ドラマティック・リーディングとして、もうけもので嬉しく観劇(感激)したが、その他の出演者もこれまでにもTSC公演でよく観させてもらっているので安心してじっくり聴くことが出来た。それは江戸馨の翻訳の美しさに負うところ大で、翻訳の台詞の言葉そのものが耳にやさしく響いた。
出演者は、つかさまりがポーライナとマミリアス、来年11月の本公演でも同じくレオンティーズを演じる大久保洋太郎がフロリゼルとの二役、カミローと侍女役に星和利、シチリア王ポリクシニーズと召使役に丹下一、アンティゴナスと羊飼い役に原元太仁、貴族役に紺野相龍、それに解説に加えて侍女と家臣を江戸馨が演じ、リュート演奏の佐藤圭一を加えて総勢9名であった。
上演時間は途中15分間の休憩をはさんで90分、まさに、劇的朗読をたっぷりと堪能させてもらった。
写真は東京シェイクスピア・カンパニーのFacebookより転載ご快諾を得て
訳・構成・演出・解説/江戸馨、作曲・リュート演奏/佐藤圭一
11月4日(火)19時30分開演、ステージカフェ下北沢亭、
料金:2000円+500円(ワン・ドリンク)
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