高木登 観劇日記2018年 トップページへ
 
   REBRONプロデュース公演 第2回 『間違いの喜劇』        No. 2020-008

 新型コロナウィルス問題で本日より江戸東京博物館は全館閉館され、大ホールでの公演は主催者側の責任と判断に委ねられての上演であった。
その影響もあってか観客の数は観客席の3分の1程度の入りでしかなかった。
 『間違いの喜劇』は昨年の10月に同じ場所で上演されているが、今回はキャスティングが大幅に変わっての再演であるため、どうしても前回のキャスティングとの比較となってしまった。
 唯一同じ役で出演していたのはエフェサスの公爵ソライナスを演じた加納怜のみで、前回も出演していた者も今回はキャストが入れ替わっており、その点での比較の面白さはあった。
 前回アンティフォラス弟を演じた君島久子は今回アンティフォラス兄を演じ、イージオンを演じた新本一真はパク・バンイルに名前を改め、ドローミオ兄を演じた。
 役柄として大きく異なった演出は、前回ドクター・ピンチ役はミセス・ピンチとして女役としていたのを今回は男優の調布大が演じ、しかも登場してからは最後まで舞台上に残っていたことである。
 今回、研修中の若手足立晃章にアンティフォラス弟を演じさせるという思い切った抜擢をしていた。
 この若手の育成やオーディションによる新たな出演者との出会いを、パク・バンイルのシェイクスピア劇演出の自分にとっての楽しみの一つにしているが、前回アンティフォラス弟を演じた君島久子の演技が光っていただけに、彼女と比較するのは足立にとっては酷というものだろうが、今回の抜擢を機会に今後の彼の飛躍を期待したい。 
 イージオンには新宿梁山泊からゲスト出演したムンスが演じ、前回アンサンブル出演の鈴木大也が商人バルタダーをゲイとして演じたのも変化の一つであった。
 その他の主だった出演者は、ドローミオ弟に別府理彩、エドリアーナに彦坂文香、その妹ルシアーナに木村絵美理、金細工師アンジェロに室井明日香、修道女院院主エミリアとエドリアーナの女中リュースの二役につる、ダンサーは5名。
 全体的には台詞回しや台詞力に力不足を感じたが、最後の場面ではダンスに唱和して観客の手拍子で盛り上がりを見せたのは観客の力でもあった。
 16,7世紀のロンドンの劇場閉鎖ではないが、今回の新型コロナウィルスによる感染騒動ですでに一部の劇場で公演中止が始まっており、そんな厳しい状況の中での公演実行の決定には勇気を要したことだろうと察する。
 上演時間は、前回より少し短く、1時間30分。

 

台本構成・演出/パク・バンイル
2月29日(土)15時30分開演、江戸東京博物館・大ホール、全席自由席

 

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