高木登 観劇日記2020年 トップページへ
 
   REBRONプロデュース No. 1 『真冬の夜の夢』          No. 2020-002
 

~In 東京都バージョン~

 タイプスの時代から毎年のように上演し続けている『夏の夜の夢』、今回は季節がらタイトルも『真冬の夜の夢』と題して、場面設定も上演会場の江戸東京博物館に合わせて東京都バージョンとし、登場人物名も日本人名に変えての潤色版として上演。
 『夏の夜の夢』はこの四半世紀の間に60本以上観てきているが、初めて観たのがシェイクスピア・シアターの『夏の夜の夢』で、そのときボトムとして出演していた新本一真(当時は新本芳一)が、これまで演出者としてしか用いていなかったパク・バンイルの名を、キャストとしてもその名前でボトム役である「とうちゃん」として出演。
 シーシュースは町会長として、その婚約者の片桐さんはヒポリタとイージーアス役の両方を兼ね、娘のゆみ(ハーミア)をたけし(ディミートリアス)と結婚させるつもりで、ゆみの恋人こうじ(ライサンダー)との結婚に反対する。
 登場人物名こそこのように変えているが、話の本筋はまったく変えていない。
それはそれでよいのだが、もっと大胆な潤色を期待していたこともあって、その点では少し物足りなかった。
 と、ない物ねだりをしても仕方がないので出されたものを味わうことにする。
 パク・バンイルの演出の特徴である、劇中のダンスがここでも冒頭の場面から目を楽しませてくれた。
 『夏の夜の夢』では昔から職人たちの出番が一番楽しみで面白さを感じているが、この舞台でも例外ではなく、とうちゃんがボトムで、その娘役のゆかりちゃんがクィンス役、劇中劇でシスビーを演じるフルートはパン屋のおばさんの鈴木さん、ライオン役(この劇中劇では壁の役も兼ねる)のスナッグは室井さん、月の役は晃章がそれぞれ演じ、出演者のキャラを楽しませてくれる。
 とうちゃん役のパク・バンイルの演技は別格として、シスビーを演じる鈴木那生のへたくそな演技を演じる演技がかえって面白さを感じさせた。
 キャストの紹介で見ると彼女の経歴がすごい。上野学園短期大学声学科卒業、コロラド大学院卒業し、都内のライブハウスでシャンソニエやジャズ、オリジナル曲を歌い、定期的にコンサートを開催しているという。彼女が出演した劇をみると、自分が観た劇の一つに昨年上演されたシナリオクラブの『牡丹燈籠』があった。
 妖精の世界ではオーベロン役は町会長役の金純樹が兼ねるのではなく、成城大学ヨーロッパ文化学科在学中の臼井汐音が演じ、タイテーニアは片桐さん(ヒポリタ)役の君島久子がその両方を演じる。
 妖精たちの名前は、蓮の実、白鳥の羽、鯉のうろこ、という風に原作とは変えられ、パックは桐朋学園芸術短期大学芸術家卒のきくちまほが演じた。
 同じ演目を繰り返し飽かずに観続けている理由の一つとして、若手が育っていくことを見るのが大いに楽しみであるからでもある。
 パク・バンイルは、これからもいくどなく『夏の夜の夢』を上演していくと思うが、若手の育成と併せて、少しずつ変容させていくその演出に今後も期待したい。
 出演者は、総勢21名(内、ダンサー4名)。
 上演時間、途中10分間の休憩を入れて、1時間50分。

 

台本構成・演出/パク・バンイル
1月16日(木)14時開演、江戸東京博物館・小ホール、全席自由席


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