高木登 観劇日記2018年 トップページへ
 
   無名塾稽古場公演 "シェイクスピアの言葉を泳ぐ"       No. 2019-056
 

 『リチャード三世』『マクベス』『ロミオとジュリエット』『ハムレット』の4つの悲劇を、ハムレットの「死ぬ、眠る、それだけ」という台詞をキーフレーズにして紡ぎ出すシェイクスピアの新たな世界。
一人用の5つの丸テーブルと椅子の席―5人の出演者が作品ごとに、場面ごとに、その席を移しながら台本をもって演技する演読劇。
 この朗読劇(演読劇)が始まるまで、この4つの作品のハイライトの場面を一つ一つ個別に演じる(朗読する)と思っていたのを見事に裏切って、これらの作品が尻取りのように最後の台詞を拾って、次々と別の作品へと交錯して展開していく。
 開幕は、リチャードの「馬をくれ、馬を!馬の代わりに王国をくれてやる!」の台詞に始まり、リチャードに殺された者たちの呪いの声、5人の出演者のうち4人が一人一人とその場に倒れ伏し、一人リチャード役の中山研だけが残り、彼の台詞を拾って次の『マクベス』に転換していく(続く作品が『マクベス』であったのかどうか、今は記憶があやふやで自信がない)。
 場面転換する時、前の場面の台詞を拾って次の作品へと流れていくのだが、残念ながらそのキューとなる台詞についてはメモを取っているわけではないのですっかり忘れてしまったのが残念(自分の隣に座っていたご婦人は克明にメモを取りながら観ておられた)。
 4つの悲劇(『リチャード三世』は普通「歴史劇」として扱われるが、その正式なタイトルは『リチャード三世の悲劇』)のハイライト部分がすべて網羅され、それらが目まぐるしく交錯して展開していくので神経を集中して聴かざるを得ず、どっと心地よい疲れがたまっていった。
とはいうものの、休憩なしの100分間は相当にハードであった。
 4つの作品が交錯して展開していくうちに、この劇の終わりは初めと同じ場面で終わるのではないかと予想されたが、果たして予想通り同じ場面で締めとなったが、それはピリオドでなく、最後に『夏の夜の夢』のパックの最後の台詞を出演者5人が交互に語って、その台詞通り、観客の拍手で終わった。
 この朗読劇は、タイトルにあるようにまさに、シェイクスピアの言葉を泳ぐ世界であった。
 そしてシェイクスピアの悲劇の世界を十二分に味あわせてくれた。
 一つの台詞を3人で語る場面では「ワンチーム」という今年のトピックな言葉をはさむなど、山崎清介のウィットのきいた構成が見事な朗読劇であった。
 出演者は、リチャードなど演じた中山研、マクベスなど演じた本郷弦、ロミオなど演じた井出麻渡、ジュリエットなど演じた鷹野梨恵子、マクベス夫人など演じた篠山美咲の5人。
 上演時間は、休憩なく1時間40分。


翻訳/小田島雄志、構成・演出/山崎清介、制作/鷹野梨恵子
12月20日(金)14時開演、仲代劇堂、チケット:2500円


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