高木登 観劇日記2018年 トップページへ
 
   劇団メグロコミュニティシアター(MCT)第14回公演 
       牛尾穂積 構成演出 『ロミオとジュリエット』 
      No. 2019-048

 この公演の舞台監督を務める瀧本忠の紹介で初めて知った劇団メグロコミュニティシアターを調べてみると、前身は1982年、目黒区主催の演劇教室で出会った有志が「十二舎」として旗揚げし、つかこうへい、別役実、山崎哲、それにオリジナル台本を上演、1992年に「劇団まろかれ」に改名し、シェイクスピア作品の朗読や上演をし、2008年11月、「メグロコミュニティシアター(MCT)」を創立し、2009年にNPO法人化し、ワークショップを通してシェイクスピア作品の朗読、上演を続けていることが分かった。
 シェイクスピア作品の上演に特化した地域に根差した劇団としては、板橋演劇センターに似通っている。
 シェイクスピア・シアターで活躍し、今でも時々出演している牛尾穂積がMTCのワークショップの指導、および公演の演出をしている。
 出演者の顔ぶれを見ると、男性4名、女性10名、合計14名で、一部ダブルキャストと一人二役をしている。
 女性が多いということで、ロミオとジュリエット、キャピュレット、モンタギュー、マーキューシオ、ティボルト、ベンヴォ―リオ、パリスなど主要な役の大半を女性で占めている。
 演出の工夫として面白かったのは、思い思いの服装で全員が頭に頬かむりをし、舞台上で盆踊りの振り付けで踊る場面から始まり、その輪が崩れてキャピュレット家の召使いサムソンとモンタギュー家の召使いエーブラハムとの喧嘩の場面へと移る冒頭の場面と、最後の場面であった。
 最後の場面は、ロミオとジュリエットの死体を前にしてヴェローナの大公の台詞が終わった後、モンタギュー家とキャピュレット家の両家の和解で終わらせるのではなく、両家の一同が左右に分かれて一斉に剣を抜きはらって再び争いを繰り広げようとする場面で終わらせる趣向に斬新な面白さを感じた。
 出演者の台詞回しと所作の端々に、シェイクスピア・シアターの出口流を彷彿させるものがあったのも特徴の一つであった。
 出演者の顔ぶれとしては、ロミオとジュリエットの役には、増田絢香と舩木優の二人は役にふさわしく非常に若くみずみずしく、その他の出演者の年齢はさまざまであるところも板橋演劇センターに似通っている。
 芝居の演技を楽しんでいる出演者を見ていると、巧い下手というより、観ていて心を和ませ、楽しませてくれるところがいい。
 出演者の演技や台詞回しは指導者の人柄を反映していて、演出者の牛尾穂積の人柄を感じさせるものがあって、温かみがあってよかったと思う。
 上演時間は、休憩なしで2時間5分。
 初日のこの日、会場は満席であった。

 

翻訳/小田島雄志、構成演出/牛尾穂積
11月2日(土)14時開演、ウッディシアター中目黒、チケット:2500円、全席自由席 

 

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