高木登 観劇日記2018年 トップページへ
 
   シェイクスピアLiveフェスin江戸東京博物館 第1回公演 『間違いの喜劇』 No. 2019-046
 

 改修された江戸東京博物館・大ホールで、新たに「シェイクスピアLiveフェスin江戸東京博物館シリーズ」がスタートし、今回がその第1回目、祝宴的喜劇のエンターテインメントに会場が熱い空気に包まれ、フェスティバルにふさわしい舞台であった。
 舞台前方の両脇に波と帆船が据えられ、ホリゾント中央部の上方に、大阪万博公園の太陽の塔の太陽を思わせる太陽。
 舞台と観客席の明かりが消え一面真っ暗になると、打ち寄せる波の音。
再び照明がつくと、舞台中央の前方に後ろ手に縛られて膝をついて座っているシラキュースの商人イージオン、真後ろにエフェサスの公爵イージオン、その両脇に警護の役人。
 この冒頭場面のイージオンの語りが物語の発端で、その語りがこの劇の見どころ、聴きどころの一つであるが、イージオンを演じる新本一真がじっくりと聞かせてくれる。
 イージオンが退場した後からは、アンティフォラス弟とドローミオ弟の二人が登場し舞台は一転する。
 アンティフォラスとドローミオ双子の兄弟のキャステイングで、それぞれの兄を男優、弟を女優が演じる。
 どちらの兄弟も衣装とメイクだけで双子の兄弟を演じさせているが、男女で演じても双子の兄弟としての不自然さは感じさせなかっただけでなく、雰囲気的にはよく似ていた。
 『間違いの喜劇』ではドローミオ兄弟の演技がいつも見どころとして楽しみにしているのであるが、今回はアンティフォラス弟を演じた君島久子の、宝塚的男役の、さっそうとした、さわやかな演技と台詞が特に注目された。
 パク・バンイル演出の『間違いの喜劇』は、これまでにも何度となく観てきているが、その都度新しいものを感じさせてもらっているので、初めて観る気持でいつも観させてもらっているので飽きることがない。
 パク・バンイル演出のシェイクスピア劇の最大の特徴は、劇中多くのダンサーを使って要所にその踊りが繰り広げられるというエンターテインメントにあり、今回もその例外ではなく、劇中のダンスを一服の清涼剤として楽しませてもらった。
 この劇の結末は、全員が修道院に全員が退場した後、ドローミオ兄弟だけが残って、どちらが先に入っていくか譲り合った後、一緒に肩を組んで退場していく場面で終わるのだが、パク・バンイルの演出では、この後にダンサーの踊りが入るのを予期させるだけの余韻を残している。
 ダンサーの踊りの後、出演者全員が揃ってのダンスはフィナーレを大いに盛り上げ、気分を高揚させてくれ、観劇後の感動を高めてくれる。
 コンパクトにまとめられた『間違いの喜劇』のひと時を楽しませてもらって会場を後にした。
 出演は、新本一真、君島久子のほか、ドローミオ兄弟に志賀野晋平と柊みさ都、アンティフォラス兄に亀谷透、アンティフォラス兄の妻エドリエーナに鹿目真紀、その妹ルシアーナに三浦亜美、イージオンの妻で女修道院長エミリアに室井明日香、エフェサスの公爵ソライナスに加納怜、ほかと8人のダンサーを含め、総勢26名。
 上演時間は、休憩なしで1時間45分。



台本構成・演出/パク・バンイル、美術/野中茂樹
10月14日(月)15時開演、江戸東京博物館・大ホール、全席自由席で、最前列中央の席


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