高木登 観劇日記2018年 トップページへ
 
   タイプスプロデュース公演 第99回 『夏の夜の夢』      No. 2019-027

 昨年、まったく同じ時期に、旺なつきと倉石功という同じ主演者で上演されているが、その他の出演者は大幅に入れ替わっており、演出も一部異なっていた。
 タイプスはこれまでにも何度となく『夏の夜の夢』を上演してきているが、それをずっと見続けているのは、その都度演出が異なっており、その変化、変容を楽しむことができるためでもある。
 主な登場人物である妖精の王オーベロン(倉石功)と妖精の女王タイテーニア(旺なつき)、ボトム(井上一馬)は前回通りで、アテネの公爵シーシュースには岩崎大、ヒポリタの八重幡典子が前回のキャステイングと異なる。
 最後のエピローグの台詞も本来はパックの台詞であるが、前回同様、ヒロインの旺なつきが語って劇を締めた。
 アテネの職人たちのクィンス役は前回通りボトムのおかみさんとして田中香子に代わって君島久子が演じたほか、その他の人物もすべて入れ替わっているだけでなく、今回は一人増え、その人物は劇中劇で梟を演じる。
 上演時間は前回と変わらないが、進展具合のテンポが速く感じられたのは台詞のカットによるものかとも思われる。
前回の台詞を覚えていないので確かな事は言えないが、まず、ハーミアとライサンダーの愛についての掛け合いの部分がまったく省略されていたのと、ボトムが目覚めた後の独白の台詞とその場面が全部カットされていた。
 この二つの台詞と場面は劇中でもかなり重要な箇所であり、普通は聞かせどころ、見せどころでもあるだけに思い切った大胆なカットであると思った。
 タイテーニアが四阿で眠っている場面もカットされ、そのためオーベロンが彼女に惚れ薬を塗る場面も舞台上ではなかった。
 このように要所々々の台詞、場面のカットが多くある割には前回と同じ上演時間であるのは、演出のパク・バンイルが特に力を入れている、劇中にダンスの場面を多く挿入していることにより、その効果を楽しむことが出来る。
 専任のダンサー以外に妖精役もダンサーとして登場するので、ダンサーは総勢10数名と華やかである。
 その他の主な出演者は、ハーミアに星野降榎、ライサンダーに長身の岡宏明、ヘレナに稲見春陽、ハーミアの父親のイージアスに調布大、パックに冨永さくら、他多数。
 上演時間は、途中10分間の休憩を入れて、2時間10分。

 

翻訳/小田島雄志、台本構成・演出/パク・バンイル
5月25日(土)17時開演、座・高円寺2、チケット:5000円、全席自由

 

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