高木登 観劇日記2018年 トップページへ
 
   劇団AUN公演 Age. 1 『オセロー』                No. 2019-023
 

「若い演出家と様々な年齢の俳優達が自由な空気の中でシェイクスピアのお芝居を創っていく場所」として、「AUNワークショップ公演」が、「Age.1」と名前を変えての第1回目の公演。
出足は雨の音の中、傘を差したイアーゴーと、傘は開かず手に持ったままのロダリーゴの登場から始まったが、イアーゴー演じる齋藤慎平の声が潰れてかすれていたのが気になった。
今回の演出で特に注目されたのは、谷畑聡が演じるオセロー。
イア-ゴーの口車に乗せられるまでは彼の大柄な体格を生かし、沈着荘重で威風堂々とした姿を示すが、一旦嫉妬の火が付いてからは感情も抑えることが出来ない激情のオセローに変ずるその落差、対照が印象的でインパクトがあった。何よりも谷畑の目の動きがよかった。
次に、トルコ軍が嵐で敗走した後のキプロスでの酒宴の場面、オセローとデズデモーナも加わってダンスの余興に興じる場面の演出はこれまでにない新鮮さを感じさせた。
そして最後、すべてがイアーゴーの奸計だと分かって、オセローが彼を馬乗りになって彼を刺し、遂にはその息の根を止めてしまい、その時のイアーゴーの台詞、「なにを聞いてもむだだ、わかってるだろう、わかってることは。いまから先おれはひとことも口をきかんぞ」は、文字通り彼の最後の台詞となったことだった。
ついでに付け加えるならば、カーテンコールではオセローとデズデモーナ―が舞台上で死んだままの姿、カーテンコールに出ることなく、観客が全員退場するまでそのままの姿勢であった。
出演は、悠木つかさが清純無垢でキュートなデズデモーナを演じ、今回の演出助手も務めるベテラン女優の沢海陽子が威厳を感じさせるヴェニスの公爵、舞台監督を兼ねる議員役の星和利、キャシオ―役の杉本政志、ロドヴィーコ役の松本こうせいほか、AUNならではのシェイクスピア劇台詞を堪能させてくれた。
上演時間は、途中10分間の休憩を入れて、3時間。

この日は公演千秋楽と浅草三社祭の最終日と重なり、地下鉄浅草駅を降りて雷門、仲見世通りにかけては人混みでいっぱいで前に進むのも容易でない状態であっただけでなく、観劇の終盤に隣の席の御婦人が自分の肩にもたれかかってきて最初はこんな大詰めの場面で居眠りかと思ったが、すぐに意識を失っているのに気づいた。後ろの席の女性が直ぐに身を乗り出してその婦人の脈を確認し、その婦人の隣の席の若い男性が係の者に連絡すべく席を立った。幸い、その婦人はしばらくして意識を取り戻し、幸い命に別状なく、落ち着いたところで自力で退席され事なきを得た。心臓に持病を抱える自分には他人ごとではないハプニングであった。

 

翻訳/小田島雄志、監修/吉田鋼太郎、演出/長谷川 志
5月19日(日)13時開演、浅草九劇、チケット:3500円、座席:C列6番

 

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