高木登 観劇日記2018年 トップページへ
 
   演劇ユニット Willow's 旗揚げ公演
              『ロミオとジュリエット』       
No. 2019-019

 明治大学にまた一つ、シェイクスピアが加わった。
 明治大学シェイクスピアプロジェクト(MSP)、MSPのOBを中心としたMSPインディーズ・キャラバン、そして今回新たに、1番やりたいシェイクスピアを上演するために、明治大学を活動拠点にして演劇ユニットWillow'sが旗揚げされ、その第1回公演に『ロミオとジュリエット』が平成最期を飾って上演された。
 会場は、明治大学猿楽町第2校舎1階のアートスタジオ。
 観客席に四方から囲まれた平土間の舞台で、舞台上には何もなく、舞台の範囲を示すポールが四隅に設置されているのみである。
 開演30分前に開場された舞台上には出演者たちが、ジーンズ姿で普段着のまま、ウォーミングアップ代りの尻取りゲームなどで気分をリラックスさせている。
 そのままの衣裳で演じるかと思っていたが、開演するとそれぞれそれらしき衣装に着替えていた。
 『ロミジュリ』は一口で言えばプロローグの序詞役の台詞にある'star-crossed'(星回りの悪い、不運な)の悲劇として総括されるが、この演出では冒頭のプロローグと、最後の場面でそれが表象されていた。
 冒頭の場面では出演者全員が、半数ずつが向きを反対にして観客席に向かって舞台上を斜め一列に並んで、序詞役がプロローグの台詞を語る半ばで、互いに向きを変える。
 エンディングは、大公の台詞が終わったところで一旦暗転してそこで終わったかに見えたが、再び明かりがついて、マキューシオを演じた西山斗真が十字架上のキリストの姿で観客席側(自分の席の真横)に立ち、その前には乳母ともう一人の人物が跪き、ロミオとジュリエットはポールの対角線上の位置に立っていて、そこで終わる。
 キャステイングを見ると、Willow'sの正式なメンバーは、ロミオ役の高橋拓己と序詞役、ヴェローナの大公、バルサザーを演じた主宰者の栁沼拓也の2人だけ。
 女性の出演は、ジュリエットの柴田小雪とティボルトや僧ジョンを演じた門間美結の二人で、乳母は男子の神林純太朗、キャピュレット夫人は黒田和宏がそれぞれ女役を演じたが、この男子の女役は劇の面白みに幅を持たせるのに一役買っていた。
 出演者は全員で12名、上演時間は休憩なしで、2時間。

 

翻訳/松岡和子、潤色・演出/栁沼拓也
4月29日(月)12時開演、明治大学猿楽町第2校舎1階アートスタジオ

 

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