高木登 観劇日記2018年 トップページへ
 
   劇団現代古典主義公演 『王様と魔術師ベイコン』        No. 2018-057

― 古典ドタバタ魔術喜劇 ―

 日本では滅多に、というより、これまで上演されたこともないロバート・グリーンの喜劇『王様と魔術師ベイコン』(原題"Friar Bacon and Friar Bungay" 『修道士ベイコンとバンゲイ』)を「同時進響劇」の劇団現代古典主義が上演。
 原題のタイトルの二人の修道士と劇中登場する人物はいずれも13世紀イングランドの実在した人物で、ベイコンとバンゲイはオックスフォードのフランシスコ会修道士で、他の史実としての登場人物はヘンリー三世、その妻の王妃エリーナ、王の母親である王太后イザベル(ヘンリー三世の父ジョン王の妃)、王子エドワード(後のエドワード一世)。
 王ヘンリーのために20年間、地下牢に幽閉されていたベイコンは、幽閉中に悪魔術を学び、王は彼を牢から出して宮殿に真鍮の城壁を一夜で造らせようとするが、ベイコンはオックスフォード大学を黒魔術大学にして自分をその学長にすることを条件に出す。
 修道士バンゲイは原作では妖術師ベイコンの協力者で男であるが、この劇では女性が演じ王子エドワードの協力者の修道女として登場する。
 マーガレットなる女性が登場し、王は彼女に惚れ、自分に代わってベイコンに口説くように命令する。
しかし、マーガレットはベイコンに恋し、ベイコンも彼女に惚れるが、マーガレットは実は女神アフロデーテの化身で、王が自分の命を取引条件にして手を結んで呼び出した悪魔ベルセフォンによって連れ去られてしまう。
 マーガレットという名も、史実としてはヘンリー三世の長女の名前と同じである。
 劇中では、ほかに道化のレイフや真鍮の首などが登場してくる。
さも分かったように書いているが、これらの内容は観劇後にあらためて演劇事典などを参考に調べた結果で、観劇中は内容と筋の展開を追うのに精一杯であった。
 それでもシェイクスピアの『ジョン王』を読んだこともあって、登場人物の名前から時代背景などを想像しながら楽しんで観ることが出来た。
 出演は、魔術師ベイコンに大西輝卓、王ヘンリーに樽谷佳典、マーガレットに倉持杏純、真鍮の首に小藤喜穂、王子エドワードに諏訪貴大、修道女バンゲイに藤井絵里、悪魔ベリセフォンに柏木公代宰、王妃エリーナに成田英恵、道化レイフに田畑恵未、王太后イザベラに土肥亜由美、召使いに三上奏子、総勢11名。
 会場は、普通のマンションのビルの4階にあって、客席はわずか17席の非常に小さな空間。
 上演時間は、この劇団が厳守している70分。

 

原作/ロバート・グリーン、脚色・演出/夏目桐利
12月2日(日)14時30分開演、劇団現代古典主義アトリエ、チケット:3500円

 

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