高木登 観劇日記2018年 トップページへ
 
   荒井良雄沙翁劇場 第18回 『真夏の夜の夢』(恋人篇)    No. 2018-038
 

この処の連日の猛暑、今日は最高気温が40度を超えた地方もある中、開演までの出足が鈍く参加者の数を心配していたが、この暑さにもかかわらず16名もの参加があったことは喜ばしいことであった。
第一部の日英朗読ではいつものようにシェイクスピアのソネットを逍遥訳、高木訳、英語でそれぞれ久野壱弘、倉橋秀美、高木が朗読し、続いて尾崎廣子が辻邦生の『十二の肖像画による十二夜の物語』より「狂い(ものぐるい)」を朗読。
第二部の演目『真夏の夜の夢』は、演出者の意向もあって2バージョンに分けて台本構成し2回にわたって公演することになり、今回はその「恋人たち篇」の朗読劇。
台本構成の時点では出演者数、キャステイィグについては白紙の状態で演出者に一任しているが、演出者へのチャレンジのような感じで登場人物の設定を考えている。
「恋人篇」ということで2組の若いカップル、ライサンダーとハーミヤ、デミートリヤスとヘレナは当然組み入れ、公爵のシーシヤスの登場と妖精の王オービロンの登場はあるが、その相手役であるヒポリタとチテーニヤの登場はなく、イヂーヤスとパックを登場させる構成にしている。
台本構成者としての関心と楽しみは、新地球座以外からの客演者に誰を選んでいるかということとキャスティングをどのようにしているかにあり、また演出において台本の微調整(カットや語彙の置き換えなど)をどのようにしているかにある。
今回の出演者とキャスティングは、シーシヤス、デミートリヤス、オービロンの3役を高橋正彦、イヂーオンとライサンダーを久野壱弘、ハーミヤとパックを倉橋秀美、そしてヘレナを客演の臺月子が演じた。
一人2役、3役では直後に人物を入れ替わる場面が多く、その変化をどのようつけるかが見どころ、聴きどころとなっているが、擬音を出す小道具の使用で妖精と人間との違いを出し、人物変化は声色の変化でうまく表現して、その台詞の仕草の落差で何度も観客から笑いの声がもれてきていたほどであった。
特に、久野壱弘のイヂーオンとライサンダーの声色の変化の落差、倉橋秀美のハーミヤとパックの台詞表現の違いは抜群に面白く秀逸で、また、臺月子のヘレナとのコントラストがよい相乗効果を引き出していたと思う。
高橋正彦の演出で時に感心させられることが多々ある中で、最後の場面での台詞の付け加えがある。
今回、恋人篇ということで2組のカップルの台詞での退場をもって終演とし、パックのエピローグの台詞を意図的に省き、そこで終わらせることで余韻と余情をもたせるつもりであったが、今回の演出ではそれをいったん全員が退場した後、パックを演じる倉橋秀美が再登場し、エピローグを所作、台詞回しを表情豊かに演じてこの朗読劇の最後を引き締めたのがとても効果的で、この劇全体の印象を強く心に残るものとした。
次回のアテネの職人たちが登場する「村人篇」の出演者とキャスティングが楽しみである。


翻訳/坪内逍遥、監修/荒井良雄、台本構成/高木 登、演出/高橋正彦
7月18日(水)18時半開演、阿佐ヶ谷・喫茶ヴィオロンにて

 

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