高木登 観劇日記2018年 トップページへ
 
   演劇集団円公演・安西徹雄没後10年企画 『十二夜』            No. 2018-022
 

演劇集団円として26年ぶりの再演という。
今回は、円としては初めての試みを若い俳優を中心とした男性のみによる上演で、これまた初めて渡邉さつきが演出を務める。
『十二夜』の演出にあたっての開幕シーンは大方二通りあるが、一つは原作通りオーシーノ公爵の館、オーシーノの音楽についての台詞から始めるものであるが、今一つは嵐の場面を挿入してイリリアの海岸にヴァイオラがたどり着いた場面から始めるもので、この演出ではこの後者の方であった。
老舗の劇団であるだけに、サー・トービーを演じた一番年長格である上杉陽一やマライアを演じた石井英明などは台詞や演技を安心して観ることが出来たが、ヴァイオラ演じる石原由宇やオリヴィアを演じた石黒光などの若手の女役なども大いに楽しんで見ることが出来た。
特にヴァイオラ役では男優が女役を務め、その女役が男装して男役になるという二重性を持たせる必要があるが、石原由宇はその男装した女役としてのヴァイオラを男装しながら女性らしさをうまく出しており、好演であった。
『十二夜』では演出次第で、主役的に感じさせるのがマルヴォーリオであることが多くあるが、この演出では女役のヴァイオラとオリヴィアに主役性を感じた一方、この舞台ではどことなくフォルスタッフを感じさせたベテランの上杉陽一のサー・トービー役が劇のふくらみを感じさせ、その演技、台詞を見どころとして楽しませてもらった。
惜しむらくは、フェステ役の玉置祐也の唄が自分には全く聞くに堪えなかったことで、そのため最後の場面がそれまでの雰囲気をぶち壊しにするように感じたことであった。
出演は、他にオーシーノ公爵に小林親弘、マルヴォーリオに瑞木健太郎、セバスチャンに原田翔平、アントニオに津田智彦、フェビアンに加藤圭、サー・アンドルーに岩崎正寛など。
最後に、千秋楽ということもあって上杉陽一からの挨拶と、彼の呼び声で演出の渡邉さつきも舞台に上がって挨拶の言葉が述べられた。
終演のその足で、この日もう1本観劇予約していたスタジオアプローズでの公演『マクベス―呪縛』を観るため、早々に劇場をあとにした。
上演時間は、途中10分間の休憩を挟んで2時間40分。


翻訳/安西徹雄、演出/渡邉さつき
4月29日(日)14時開演、両国・シアターX

 

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