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  シェイクスピアを楽しむ会・町田」主催、小さなシェイクスピア祭
     言語で楽しむ朗読劇 『リチャード三世』(第1幕より)     
No. 2018-021

 「シェイクスピア通信」を毎週発行している関場理一氏がチューターを務める"シェイクスピアの森"のグループの一つである「シェイクスピアを楽しむ会・町田」は、月2回の会読例会では毎回前回会読した範囲を全員で輪読することから始められる。
 その「町田の会」ではシェイクスピアの生誕の日を記念して毎年「小さなシェイクスピア祭」と称して会員全員によるその年に読んでいる作品の朗読劇を催しているが、年々その準備が周到となってきて来客へ配布する資料も非常に手の込んだ充実した内容となっているのに感心させられた。
 本番に向かっての入念な練習を積み重ね、小道具や衣装にまで細かく気を配っており、聴く朗読劇ではあるが観る楽しみも与えてくれる。
 会の代表である三樹勁志氏のユーモアを交えた名司会ぶりで和やかな雰囲気で朗読劇の進行が進められ、その三樹氏による1幕1場の冒頭のリチャードの独白をメリハリの利いた声調で素晴らしい劇読を聴かせてもらった。
 朗読劇では、時に自分の台詞の箇所を失念する最高齢(と思うが)の菊地嘉昭さんを周囲が温かく支える姿も微笑ましく感じられた。
 本格的に舞台を踏んだ経験のある阪口美由紀さんのマーガレットや東春子さんのリチャード役は、お二人のよどみない台詞と所作はさすがに観て聴かせるものがあったが、何よりも聞いていて楽しく嬉しい気持ちにさせてくれたのは、全員が楽しんで朗読している姿勢であった。
 それは、うまいとか下手を超えたもので、この会の貴重な財産であると思った。
 出演者は、この会の全員、三樹勁志、菊地嘉昭、小松久美子、福中香穂子、飯長有沙子、川崎充子、伊藤泰子、阪口美由紀、東春子と、チューターの関場理一、総勢10名であった。
 当日配布された資料は、「小さなシェイクスピア祭・原語で楽しむ『リチャード三世』(朗読劇)」(中には、プログラムとしてキャステイングの紹介や『リチャード三世』各場面の内容説明など)と原語の理解の一助として各場面の名台詞の翻訳を付した「『リチャード三世』を日本語にすると」という小さな解説書。
 朗読時間は、途中10分間の休憩を挟んで1時間30分。(下の写真提供は、阪口美由紀さん)


「町田の会」

4月23日(月)13時30分より開始、玉川学園前・コミュニティセンターにて開催 

 

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