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  ジョー・カラルコ脚色による『ロミオとジュリエット』
              『Shakespeare's R&J』        
No. 2018-005

 楽日とあってか客席は満席でしかも立見席まであっての大入りであったが、出演者の顔ぶれからおおよその想定をしていた通り、観客のほとんどが若い女性ばかりであった。
 冒頭部でカトリックの学校の授業とお祈りの厳格な生活の様子が断片的に素早く描かれ、寄宿舎の男子高校生4人が夜中に起き上がって、『夏の夜の夢』の最後の場面の妖精たちの登場する台詞を語りながら闇の中で、シェイクスピアの戯曲『ロミオとジュリエット』の朗読を始め、その演技に夢中になっていく形で進展していく。
 戯曲の演技のつもりがどこか現実的な彼らの関係を感じさせるような場面がたびたび出てくる。
 マキューシオが殺され、ロミオがティボルトに復讐する場面で、剣(この場面では剣をこん棒にしているが)を赤い布に持ち替え、それで首を絞めて殺すが、そのやり方が度を越していたために傍にいた者が割って入るほどで、ティボルト役の学生はゼイゼイと息を切らしていた。
 芝居を演じているうちに日頃たまっていた感情がつい本気になったしまったという感じであった。
 ロミオとジュリエットが接吻する場面では本当に口づけし、男子生徒だけの厳しい規律の中で、実際に二人の関係もこれに近い感情を持っているのではないかと感じさせるものがあった。
 『ロミジュリ』の朗読・演技を続ける中で、途中、二度ほどシェイクスピアのソネット18番「君を夏の日にたとえようか」が挿入されているのが非常に効果的であった。
 最後の台詞は『夏の夜の夢』のパックのエピローグの台詞で締められる。
 劇中劇が何故『ロミジュリ』なのかという疑問と、やはりここは『ロミジュリ』でないと、という両極端の気持を抱かせた。
 この劇は、2003年にロンドンで初演され、日本では2005年2月にPARCO劇場でジョー・カラルコ脚色・演出で首藤康之、佐藤隆太、小林高鹿、浦井健治の4人で上演されたが、残念ながらそれは観ていないので比較はできないが、今回は演出者も出演者も変わって、出演者は矢崎広、柳下大、小川ゲン、佐野岳。
 女性観客のスタンディングオベーションが出演者の人気を表していたと思うが、自分は残念ながら、多分圧倒的な少数派で、冷ややかな感想しか残らなかった。

 

脚色/ジョー・カラルコ、翻訳/松岡和子、演出/田中麻衣子
2月4日(日)13時開演、三軒茶屋・シアタートラム
チケット:3400円(車椅子付き添い、シルバー割引)、座席:L列1番

 

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