高木登 観劇日記2017年 トップページへ
 
   新宿梁山泊公演 『オセロー』                No. 2017-063
 

最初に、デズデモーナが最後に歌う「柳の唄」を歌いながら、舞台前面の黒幕の前に魔女が登場する。
黒幕が上がると、人の身長ほどのサイズの、魚のエイのような形をした方形の覆いが引き上げられると、舞台上には全部「白」に並べられているオセロゲーム盤があり、魔女はそれをゆっくりと「黒」に裏返していく。
白は、純潔と処女性を示しデズデモーナを、黒は、黒い肌のムーア人のオセローを、魔女は、不条理な悪を働くイアゴーの心象を表象しているとも取れる。
この魔女は、イアゴーがオセローに対して嫉妬心を煽り立てる場面には常に現れ、舞台の隅の方で、その身をエイのような覆いの陰に隠れ潜んでいる。
このエイのような覆いは、時にはスクリーンの役をし、ハンカチの場面では、デズデモーナがオセローから譲られたイチゴ模様のハンカチの赤いイチゴを映し、そのイチゴが真黒に変わり、最後には髑髏のような模様へと変化し、不気味な未来を表象する。
ストリーの展開のテンポは速く、オセローがデズデモーナの貞節を疑う深みへとまっしぐらに突き進んでいく。
それはまるでオセロゲームの白黒の石がひっくり返されていくのを見ているようでもある。
マンションの地下2階を劇場にした舞台は決して広くはないが奥行きがあり、その奥は変形地形のためにマンションの1階に面しているという構造であるが、非常階段なども効果的に使って変幻自在の舞台装置を提示する。
舞台装置を変える時は、黒幕が下りて登場人物はその幕の前での演技となり、舞台装置の見事な変化も見ていて飽きない。
今回の舞台では、オセローとイアゴーの二人を中心にした舞台ともいえる。
そのオセロー役には広島光、イアゴーは松田洋治、そしてデズデモーナ(キャスティングリストでは、デズネモーナと表記されているのは、何か意図があっての事だろうか?)にはえびねひさよ、エミリアは渡会久美子、キャシオ―に申大樹、魔女に三浦伸子、ビアンカに傳田圭菜、ブラバンショーに島本和人、その他の登場人物は日によって異なるが、当日は、公爵が金守珍、ロダリーゴーが加藤亮介、モンターノが清水修平、グレシーシァーノーに小林由尚、ロドヴィーゴーに染野弘考の、総勢13名。
上演時間は、休憩なしで2時間弱。

 

訳/小田島雄志、演出/金守珍、美術/宇野昭亞喜良、舞台装置/百八竜
12月10日(日)14時開演、芝居砦・満天星、チケット:3800円、全席自由席


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