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  新地球座主催・荒井良雄娑翁劇場・第14回 『シンベリン』      No. 2017-056

 今回は台本構成者としての立場から、自分の構成した台本がどのように演出(朗読)されるかを確認するために、台本を見ながら聞かせてもらった。
 台本作りに当たって、予定されている出演者とその人数から劇選定の相談があり、こちらから2つほど候補を挙げ、その中から『シムベリン』を選び、登場人物については、この作品のヒーローとヒロインであるポスチューマスとイモーヂェンは当然外すことが出来ないので、あとは内容からヤキモーにすることで全体の構成を考えた。
 3人の登場人物だけでこの劇の内容を理解してもらうためには、中心となる主題を決め、その上で台詞を選び出し、かつカットしていかなければならない。
 舞台劇では誰が誰に言っているか分かる場合でも、朗読劇では聴いている人には誰が誰だか分からないこともあり、そのような場合には原文にはなくとも話しかける相手の名前を入れる工夫などは取っているが、それでも聴く人にとっては不備があり、それを今回も演出者や朗読者が言葉を補ってくれた。
 台本をチェックしながら聞いているのはそれらを確認をしたいためであるが、それが非常に参考になるだけでなく、演出や朗読者の工夫に感嘆させられることにもなる。
 今回何よりも嬉しかったのは、初めてのお客さんで、シェイクスピアも初めてで、何の予備知識もないという方からこの朗読の内容がよく分かったという感想をもらったことであった。
 その功労者としては、朗読者にあるのは間違いない事だが、全体の3分の1ほどに圧縮されたものが、その内容もよく分かったと言われたことは、台本構成者としても嬉しいことであった。
 今回は台本構成者の立場から聴く人の側を考えて朗読時間も計ってみたが、自分が理想としていたちょうど40分であった。
 出演者と登場人物は、高橋正彦がポスチューマス、久野壱弘がヤキモー、倉橋秀美がイモーヂェン。
 荒井先生が亡くなられた後、先生の遺言のような言葉で台本作りを始めて2年近くなった今、新地球座の良き朗読者の協力を得て、やっと自分なりに方向性がつかめてきたような気がする。

 

監修/荒井良雄、台本構成/高木 登、演出/高橋正彦
11月15日(水)18時半開演、阿佐ヶ谷・喫茶ヴィオロン、参加費:1000円(コーヒー付き)

 

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