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  新地球座主催・荒井良雄娑翁劇場 第13回 
           『ウィンザーの陽気な女房』           
No. 2017-047

 第一部の日英朗読は、ソネット朗読(60番と64番)を逍遥訳で久野壱弘、高木訳を倉橋秀美、英語で高木がし、続いて小川未明の作品「野ばら」を石井麻衣子、辻邦生の『花のレクイエム』から「9月 まつむし草」を尾崎廣子が朗読。
 第二部の朗読劇は、逍遥訳『ウィンザーの陽気な女房』で、フォード夫人を森秋子、ペイジ夫人を沢柳迪子、クィックリーを倉橋秀美、フォルスタッフを久野壱弘、フォードとピストルを高橋正彦が演じた。
 タイトルが示す通り、この劇の主役はウィンザーの市民階級の婦人であるフォード夫人とペイジ夫人で、この朗読劇でも二人を演じた森秋子と沢柳迪子が、衣裳もそれにふさわしく、声も年齢を感じさせない若々しさであった。
 この二人の女性に体よくあしらわれるフォルスタッフ役の久野壱弘が、フォード夫人を盛り立てるように刺身のつまのように一歩下がった感じで控えめであったのがよかった。
 出演者や朗読時間を考え、余分なエピソードをそぎ落とし、フォルスタッフがフォード夫人に言い寄って手痛い目に遭う場面に絞ってコンパクトにまとめたが、それが十二分に生かされた演出と朗読であったと思う。
最後のウィンザーの森の場面では、石井麻衣子が吹く玩具のラッパの音が効果を添えていたが、これなどの演出のちょっとした配慮にも感心させられた。
 この日は、出演者の関係者などもいつもより多く来られていたようで、狭いヴィオロンが満席の状態で盛況であったのは喜ばしい限りであった。


翻訳/坪内逍遥、監修/荒井 良雄、台本構成/高木 登、演出/高橋 正彦
9月20日(水)18時半開演、阿佐ヶ谷・喫茶ヴィオロン


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