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  新地球座主催・荒井良雄娑翁劇場 第12回
   逍遥訳・詩篇其の二 『ヴィーナスとアドーニス』 (後篇)     
No. 2017-036

 第一部はいつものように、シェイクスピアのソネット朗読(18番と59番)と辻邦生の『花のレクイエム』から7月「百合」の朗読。 
 ソネット朗読は、今回からまた一つ趣向が変わって、最初に逍遥訳を倉橋秀美、続いて高木訳を久野壱弘が朗読し、最後に原文を高木が朗読した。逍遥訳を加えることで、同じ日本語の翻訳でも、その言葉の響きの違いを味わってもらうことが出来たのではないかと思う。
 『花のレクイエム』はいつも通り尾崎廣子が朗読。
 第二部は5月の会に続き、逍遥訳の詩篇『ヴィーナスとアドーニス』の後篇の朗読。
 出演者と役は前回と変わらず、ヴィーナスをやなぎまい、アドーニスを小春千乃、「地」の部分を高橋正彦と久野壱弘が担当。
 第二部に入る前のレコード鑑賞、アルベニス作曲の「アルベニスのタンゴ」の演奏に合わせて、石井麻衣子がマイムを演じたのは今回初めての試みであったと思うが、本編に入る前のプロローグとしていいアイデアだと思った。
 逍遥訳の詩篇の語彙は現代の若い人にとってはかなり難しいだけでなく、意味も理解できない箇所がかなりあるとは思うが、若手のやなぎまいと小春千乃が逍遥訳沙翁劇場に新風を吹き込んでくれたのも収穫の一つであった。詩篇の朗読は本邦初演として、貴重な試みであることを高く評価したい。

 

監修/荒井良雄、演出/高橋正彦
7月19日(水)18時半開演、阿佐ヶ谷・喫茶ヴィオロン


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