高木登 観劇日記2017年 トップページへ
 
   タイプスプロデュース公演 『から騒ぎ』   No. 2017-026
 

舞台全体に広がって乙女たちが踊る中、ヒアローとビアトリスを乗せた神輿が両脇の観客席を通って登場してく開幕シーンが、シチリアの明るい雰囲気を作りだし、華やかで、ケネス・ブラナー映画版の『から騒ぎ』を見るような躍動感にあふれる舞台であった。
賑やかな収穫祭を祝っている最中、アラゴンの領主ドン・ペドロ一行が凱旋して戻ってくる知らせが届く。
その華々しい開幕シーンに見ている方も心がウキウキ弾んできた。
しかし、ドン・ペドロの弟ドン・ジョンの放つ台詞がその雰囲気を一変させる。
この舞台で感じたドン・ペドロは、不条理の悪、憎いから貶めるという『オセロー』のイアーゴーその人であった。
滝沢亮太が演じるドン・ペドロの存在に新しさを発見させられた。
この作品のヒーローとヒロインであるベネディックとビアトリスを演じる庄田侑右と大竹一重の丁々発止のやりとりの好演が面白く、楽しく、舞台全体を盛り上げた。
この二人は、これまでにも『マクベス』でも主役とヒロインをペアで演じてきているだけに、非常に息が合っていた。
クローディオの砂押正輝、ヒアローの大國明里の新鮮な雰囲気と微笑ましい好ましさを感じた。
出演者の息づかい、目の動き、表情の一つ一つをつぶさに見て感じたいので、自由席の場合はいつも最前列中央部の席を取るのを常としているが、その甲斐あって、その醍醐味を十二分に感じさせてくれた。
ヒーローのベネディックを演じる庄田侑右は、照明の暑さも手伝って汗にまみれての熱演がまじまじと見えた。
ドン・ペドロを演じた新本一真の目の表情や、台詞力の素晴らしさと迫力にも心を奪われた。
オーバーな演技で楽しませてくれたのは、ドグベリー役の関洋甫。
異色の経歴の出演者としては、修道士フランシスを演じた奥尻元雅、コンラッドを演じた高橋信多、そしてヴァージスを演じた秋元剛がおり、その意味でもタイプスのキャストを紹介したプログラムは、舞台を観る上で参考になるだけでなく、それぞれの出演者に興味をもってその演技を見ることが出来るので大いに助かっている。
レオナードを演じた調布大、アントーニオを演じた須藤正三の演技にも、年齢に関係ないすがすがしい好ましさを感じた。
タイプスのシェイクスピア劇にはダンサーを欠かせないが、そのダンサーには佐々木健、山口りえ、CHIHARU、伊東映里奈、松尾音音。ギター演奏の井上達也を含めて、出演者は総勢24名という賑やかさ。
エンターテインメントとしてのシェイクスピアを存分に楽しむことが出来、2日間の3ステージだけの公演ではもったいない気がした。
上演時間は、途中10分間の休憩を入れて、1時間45分。

脚本・演出/さとうしょう、5月26日(金)19時30分開演、座・高円寺2にて

 

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