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  第10回 荒井良雄娑翁劇場 『リヤ王』              No. 2017-013

 いつもの顔ぶれと出演者の動員もあって、定員20名の会場が30名を越す観客で超満員の盛況であった。
 プログラムは、いつものSPレコード鑑賞と第一部が日英朗読、第二部が坪内逍遥訳による『リヤ王』の朗読劇。
 第一部の日英朗読では、いつものシェイクスピア・ソネット朗読(高木登)と辻邦生の『花のレクイエム』より3月「すみれ」の朗読(尾崎廣子)に、ヴィオロン初参加の小春千乃によるオスカー・ワイルド作『善を為す者』『弟子』の朗読が加わり、新鮮さがあった。
 第二部の逍遥訳『リヤ王』の朗読劇は、今回は5名の出演で、通常は出演者の少ない女性陣が3名と、多彩な色合いを楽しむことが出来た。
 女性陣は、リヤの3人娘のゴネリルを沢柳廸子、リーガンを北村青子、コーディーリャを倉橋秀美がそれぞれ演じ、男性陣では久野壱弘がリヤとエドマンド、高橋正彦がグロスターとオルバニーの一人二役を演じた。
 キャスティングの関係で台本を急遽作り変え、男性陣の一人二役をリヤとグロスター以外の組み言合せで一つの場面で登場がかぶらないようにし、なおかつ全体の内容が分かるように気を使ったので、久野、高橋の両人がいかに演じ分けてくれるかを見どころにして注意して聴いていたが、役者歴50年という久野がリヤを見事に演じてくれ、エドマンドとの切り替えもよく出来ていて、さすがだと感心して聞き入らせてもらった。
 今回楽しみにしていたのは、それぞれ声質も演技スタイルも異なる3人の女優によるリヤの3人娘の競演で、期待に違わず、その違いを十二分に味あわせてもらったが、なかでも北村青子のリーガンは秀逸であった。
 出演者の一人でもある高橋正彦が演出で台本のいたらない所をカバーしてくれており、台本構成者としては救われる思いで、一観客として楽しませてもらうことが出来た。
 定員オーバーのすし詰めの会場で、観客の熱気とともに2時間を楽しく聞き入ることが出来た。感謝!

 

訳/坪内逍遥、監修/荒井良雄、台本構成/高木 登、演出/高橋正彦
3月15日(水)18時30分開演、阿佐ヶ谷・喫茶ヴィオロン、参加費:1000円(ドリンク付き)

 

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