第1回「英語かたりの会」として、
1. オスカー・ワイルド作 『カンタヴィルゴースト』 (山上尚子朗読) 15分
2. シェイクスピアのことば (市川忠雄/鹿鳴家英楽)15分
3. 高橋りりす・一人芝居、太宰治作 『駆込み訴え』 (高橋りりす英訳) 45分
4. 落語
1) 「落語とは」 鹿鳴家英楽
2) 「寿限無」 鹿鳴家七味
3) 「夢の酒」 鹿鳴家ゆん卓
4) 「転失気」 鹿鳴家一輪
5) 「お楽しみ」 鹿鳴家英楽
が、両国の「お江戸両国亭」で催された。
タイトルにあるようにすべて英語であるが、リーディングや落語と合わせてシェイクスピアの話が入っていることに、シェイクスピアの面白さをあらためて感じさせられた。
取り上げられた作品は『ヴェニスの商人』、『ロミオとジュリエット』、『ハムレット』の3作で、これを市川忠雄と鹿鳴家英楽がコント風に日本語での台詞と英語の台詞を語った後、小話を加えるという趣向で構成されている。
『ヴェニスの商人』ではシャイロックの「ユダヤ人には目がないか」の台詞の場面と、法廷場面のポーシャの慈悲についての台詞の場面であるが、英語は原文通りではなく分かりやすくアレンジされている。ここでは慈悲についてのコントと観客に'mercy'の個人的実例をあげさせたが、結構面白い個人的実例を堂々と英語で答えていた。
『ロミオとジュリエット』では有名なバルコニーシーンの「名前を捨てて」の部分。
『ハムレット』は、ポローニアスがレアティーズをフランスに送り出すときの台詞と、最も有名な台詞の一つ'To be, or not to be'の部分。'To be, or not to be'のコントで面白かったのは、ダイエット中の女性の観客が'To eat, or not to eat'と答えたことと、英楽がポケットから鉛筆を取り出して'to be (Two B = 2B), or not to be (Two B)'と言ったのは、さすが、落語家のオチだと感心した。
シェイクスピアをこのような形の寸劇で楽しむ方法があるということに興味を感じた。
圧巻であったのは、太宰治の『駆込み訴え』を自ら英訳しての高橋りりすの一人芝居であった。本人による英訳も素晴らしかったが演技そのものにも迫力があり、観劇後、観客席のあちこちから感嘆の声が上がっていた。
休憩後は、英語による落語で、冒頭に鹿鳴家英楽が落語の約束事を英語で分かりやすく面白く説明してくれたのが非常に参考になった。
演目はどれも面白く聞いたが、中でも「転失気」(てんしき)と「お楽しみ」は非常に面白かった。
「転失気」とは「屁」のことであるが、医者にかかった坊さんが医者の言う転失気の意味が分からないのに分かったふりをして、それを知るために小坊主に転失気を花屋に行かせたリするが、小坊主は医者から転失気とは屁のことであることを教わって、坊さんが転失気とは何かを知らないでそれを知るために自分を利用したのだと分かって、転失気とは酒のことであるとかつぎ、それを聞いた坊さんが医者に転失気を振る舞うと言って恥をかく噺である。
「お楽しみは」はドケチな商人が3人の息子たちに自分が死んだらどんな葬式をするか試す話で、シェイクスピアの『リア王』を思わせるところがあって興味深かった。
今回、この「英語かたりの会」は第1回目であるが、主宰者の鹿鳴家英楽が年1回はこのような催しを続けたいと挨拶していたが、是非続けて欲しいものである。
3月12日(日)12時30分―15時30分、お江戸両国亭にて、木戸銭:1000円
|
>> 目次へ |