高木登 観劇日記2016年 トップページへ
 
   タイプス・プロデュース公演No. 81 『冬物語』         No. 2016-058
 

この劇全体のコンセプトを表象するのは、開幕時ではリオンティーズのシチリアの暗い場面を表象して黒いタイツのダンス衣装、2幕の開幕時ではボヘミアは毛刈り祭りの明るい場面を象徴して水色のバレー衣装、そして終幕の場面では彫像姿のハーマイオニの衣装に合わせた純白のバレー衣装で披露するERIKOのダンスに見受けられ、エンターテイメントとしての演出の巧みさを感じさせるものがあった。
シチリアとボヘミアという地理的場所の違いで1幕と2幕に分けており、その点でこの物語の内容を全く知らない人たちには状況がよく呑み込めていなかったようで、自分のすぐ後ろに座っている身内が出演していると思われる家族の会話を休憩時間中に聞いていると、アンティゴナスもカミローも死んでしまったかのように話していた。
2幕に分ける場合、棄てられた赤ん坊のパーディタを羊飼いが見つけて連れ帰る所で1幕の終わりとし、2幕は「時」の登場から始めるのが普通であるが、この演出では、ポーリーナがリオンティーズにハーマイオニの死を知らせ、二人が侍女役を兼ねるダンサーたちの葬送を感じさせる行進と歩調を合わせるように舞台をゆっくり回遊するところで終わり、2幕はアンティゴナスがパーディタをボヘミアの海辺に捨てる場面から始まる。
舞台装置の工夫として、毛刈り祭りの2幕の場面に入る前、オートリカスを演じる新本一真が舞台上の演技のようにして背景に蔦の葉や花飾りの飾りつけをした後、舞台中央に進み出て拍手を求めるアドリブをして引っ込む。
前半部が暗ければ暗い程、この毛刈り祭りの場面は明るくほっとする場面で、この舞台でもハイライトとして輝いていて、楽しんで観ることが出来た。
もう一つのハイライトの場面である石像としてのハーマイオニの出現は、ポーリーナが舞台奥中央戸口のカーテンを開けると、掌を重ねた両手を前方に下げ、輝くような純白の衣装で現れたのが印象的であった。
出演は、リオンティーズに安藤慶一、ポリクシニーズに岩崎孝次、ハーマイオニにやなぎまい、ポーリーナに笠井幽夏子、アンティゴナスに武田光太郎、カミローに加藤雅也、他。
上演時間は、途中10分間の休憩を入れて、2時間20分。

(構成・演出/パク・バンイル、12月4日(日)13時開演、座・高円寺2にて観劇、
チケット:4500円、全席自由席)

 

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