高木登 観劇日記2016年 トップページへ
 
   新国立劇場演劇研修所・試演会 『ロミオとジュリエット』     No. 2016-050
 

新国立劇場演劇研修所第10期生8名と修了生4名を加えて総勢12名の出演。
ジュリエットを演じる塚瀬香名子以外、全員が一人二役以上を演じ、主演のロミオを演じる田村将一ですら、キャピュレット家の郎党グレゴリーという端役の二役を演じている。
研修所開設12年目にして初めてのシェイクスピア劇の試演会というのが、ちょっと意外な感じがした。
というのも、研修所出身者がシェイクスピア劇で活躍しているのをこれまでに幾度も観てきたし、その安定した演技と台詞力に感心することも多かっただけに、これまでに試演会でもシェイクスピアが当然あったという既成概念があったからである。
舞台そのものは何もない空間で、8つの回転式のドアにもなるパネルが背景のホリゾントで、出演者はそこから出たり入ったりするだけでなく、その奥も舞台空間として使われる。
バルコニーシーンのバルコニーは可動式で、パネルの一部からそれが迫り出されてくるし、後朝の場面の寝台や、霊廟の台座などの舞台装置は、その場面に従って持ち出されてくるので、何もない空間といっても、最小限の装置は使用されている。
冒頭のプロローグの場面では、3人の俳優が務める。
演劇研修所コーチの田中麻衣子の演出では、細かい所まで忠実に描き出していた点が意外でもあった。
際立った特色としては、舞踏会の終った後の場面や、後朝の場面の後や、ロミオとジュリエットの死の後、6、7人の俳優たちによる歌唱が入ったのも、初めて観る演出だっただけに新鮮な感じがして興味深かったが、この歌唱の場面については、メモを取っていないので記憶違いがあるかも知れない。
一人二役以上演じたことで面白かった点は、ロミオとグレゴリーの二役には全く気付かなかったことと、逆にすぐに分かるが意外性の面白さを見せたのが、キャピュレット家の召使いピーターとティボルト、それに薬屋を演じた岩男海史の真逆の演技であった。
最も若い角田萌果(20歳)が、最も年配役の一人である乳母を演じたのも、研修生の試演会ならではのキャスティングとして一興であった。
その一方で、年配役であるヴェローナの大公エスカラスを4期生の原一登、キャピュレットを5期生の川口高志が演じ、それなりの貫録を示していた。
研修期間終了後、彼らがどのような場で活躍していくか、今後を期待しながら楽しんで観た。
研修生の試演会ということもあってか、観客の大半が研修生とその関係者が占めていたように思われた。
上演時間は、休憩なしで2時間15分。

 

(翻訳/河合祥一郎、演出/田中麻衣子、美術/香坂奈奈、11月9日(水)19時開演、
チケット:(A席)3240円、座席:1階席C2列7番(最前列) )

 

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