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  しんゆりシアター公演 『夏の夜の夢』              No. 2016-046

 しんゆりシアター公演のシェイクスピア劇を観るのは、昨年に続いて今回が2度目となる。それで昨年の観劇日記を読み返してみると、座席は偶然にも今回とまったく同じで最前列中央の席であった。
 翻訳の松岡和子、演出の河田園子も同じで、出演者も一部重なっており、今回も文学座座員と新国立劇場演劇研修所出身者が3名いた。
 前回の『恋の骨折り損』ではアコーディオンの演奏がついていたが、今回は高江洲愛(昭和音楽大卒)がハープ演奏を楽しませてくれた。
 『夏の夜の夢』は、シェイクスピア劇の中でもこれまでにも最も多く観る機会の多かった劇の一つであるだけに、目新しさは特になかったものの、台詞劇としての骨格がしっかりしていて素直に楽しんで観劇することが出来た。
 シーシアスとオーベロン、ヒポリタとティターニアは、出演の中でもベテランである、廣田高志(文学座)と中地美佐子(民藝)がそれぞれ二役を演じる。
 パックを演じる斉藤祐一(文学座)は、フィロストレイトも演じていたが、これにはキャスティングを見るまでまったく気づかなかった。また、イジーアスとアテネの職人ピーター・クウィンスを演じた伊原農(加藤健一事務所14期卒)の二役にも劇中では気づかなかった。
 妖精たちは、昭和音楽大学ミュージカルコース卒業生の小西萌子(蜘蛛の巣)、坂口杏奈(カラシの種)、光延真鈴(豆の花)が台詞の一部を歌唱で楽しませ、妖精からそれぞれ名前の付いた妖精に変わるとき、それまでの緑色がかったブルーの衣装をひっくり返して、黄色、紫などの衣装に早変わりさせたのも一興であった。
 ハーミアを演じた保可南(新国立劇場演劇研修所2期生)、ヘレナを演じた前東美菜子(文学座)は昨年も出演しており、記憶にも残っていただけでなく、その台詞力を楽しんで聞かせてもらった。
 ライサンダーを新国立劇場演劇研修所出身の形桐レイメイ、ディミートリアスを劇団俳優座所属の田中孝宗、ボトム役は新国立劇場演劇研修所1期生の前田一世、スナッグを矢崎和哉、フルートを斉藤千裕、スターブリングは坂本岳大がそれぞれ演じ、ハープ演奏者を含め、総勢16名の出演。
 際立った特徴は感じなかったが、それぞれの演技、台詞力を十分楽しむことが出来た。
 上演時間は、休憩なしで2時間15分。

 

翻訳/松岡和子、演出/河田園子
10月21日(金)14時開演、川崎市アートセンター、アルテリオ小劇場、
チケット:3800円、座席:B列10番

 

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