高木登 観劇日記2016年 トップページへ
 
   円弥会公演・朗読劇 『マクベス』     No. 2016-042
 

プロの俳優の“円弥会”と素人の集団“グループえん”による合同での朗読劇は今回が初めてという。
 “円弥会”の円道一弥が指導する“グループえん”は、元々は小説などを朗読する会で、今回のような所作を伴う朗読劇は初めてで、円道氏は指導にかなり苦労されたようである。
この上演ではプロの俳優はマクベス役の円道一弥とマクベス夫人の北村青子の二人だけで、その他は全員“グループえん”のメンバーで、中には中学生も一人参加している。
開演とともに会場は暗転し、客席後方部から半ばお経の響きのよう歌声が聞こえてきて―それは「虹とともに消えた恋」というピーター・アンド・マリーの歌であることを終演後に確認して教えてもらった―3人の魔女が登場してくる。
この歌声は、マクベスが倒され、マルカムが王位に就く戴冠式の宣言で舞台が暗転した後にも聞こえて、この舞台の円環を感じさせる効果を持たせていた。
その他にも、さりげない小さな工夫があり、中でも目を引いたのはダンカン殺しの場面でマクベス夫人が持つ台本が、それまでの黒い表紙から赤い表紙の台本に切り替えられていて、血のイメージを彷彿させていた。
マクベス、マクベス夫人のプロの二人の迫力ある演技に押されるかのように、他の出演者のパーフォーマンスも板についており、楽しんで観させてもらった。
“グループえん”の出演者は総勢10名で全員が二役以上をこなしており、中でも中村直子さんはダンカン王、門番、マクダフ夫人、医師役など、それぞれ異なった役柄を巧みにこなしていたのが注目された。
その中村さんは御夫婦での出演で、夫君の中村範行さんはバンクォー、他を演じていた。
中学生の萩原鈴さんは、今回が3回目の出演ということで、ドナルベーン、フリーアンス、マクダフ夫人の子供など、物おじせずに何役も頑張って演じた。
マクダフを演じた野手幹博さんは小学校の先生だそうで、日頃声を出すことが多いせいかよく通る声で、所作もなかなかの熱演ぶりであった。
公演会場は、相模原市の藤野にある「結びの家」(藤野倶楽部・百笑の台所)で、JR藤野駅から車で約15分程度の所にある小さな平屋で、会場に必要な用具類から会場作りまですべて出演者とその協力者によってなされている、まさに手作りの舞台であった。
舞台上の出演者以外では、ドラム演奏に建築士が本業の野崎勉、オルガン演奏に谷由紀子。
演劇はもともと祭りであり、その祭りは地域の人達によって初めて成り立つが、このようなバラエティに富んだ人材の演劇集団も、地域だからこそ可能な一面があることをしみじみと感じさせてくれた。
観終わった感じが、実に温かい気持ちとなる至福感の満足にひたる喜びがある。感謝!!!

 

(制作/グループ・えん、企画・演出・構成台本/円道一弥、10月8日(土)16時開演、
藤野倶楽部・百笑の台所にて観劇、チケット:2000円)

 

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