高木登 観劇日記2016年 トップページへ
 
   子供のためのシェイクスピア 『オセロー』       No. 2016-030
 

“子供のためのシェイクスピア”による『オセロー』は1999年に当時の東京グローブ座で上演されており、その時のキャスティングは、オセローに佐藤誓、イアーゴーに吉田鋼太郎、デズデモーナ―に竹下明子、エミリアと公爵に伊沢磨紀、キャシオ―に間宮啓行、ブラバンショー、ビアンカ、グレーシアーノーに彩乃木崇行、ロダリーゴに戸谷昌弘、モンターノに明楽哲典、老婆と人形に山崎清介。
今回のキャスティングは、オセローに河内大和、イアーゴーに山崎清介、デズデモーナに大井川皐月、エミリアと公爵に伊沢磨紀、キャシオ―に若松力、ブラバンショーとモンターノを戸谷昌弘、ロダリーゴとグレーシアーノーに山口雅義、巫女とビアンカに加藤記生。
開幕はこれまでの黒マントに黒のフード姿で全員がクラッピングしながらトコトコ歩くというスタイルと異なり、イアーゴーとロダリーゴの会話のシーンから普通に始まった。
その二人の会話に登場するオセローとデズデモーナは、いつもの舞台道具である机を前にして舞台中央奥に座っていて、巫女が三々九度の酒を注ぎ、二人だけの結婚式が進んでいる様子が可視化されている。
このほか原作には登場しない巫女が、小舟の櫓を漕いでオセローが嵐の中無事にキプロスに到着するのに一役買う役なども務める。
今回の演出で特に注目したのは、キャシオ―がロダリーゴとイアーゴーに闇討ちされる場面で、ビアンカがキャシオ―を見送って来ていて現場の一部始終を目撃しているという設定であった。
原作では駆けつけてきたビアンカをイアーゴーが怪しいと言って逮捕させるが、この場面では、イアーゴーは目撃されていたという懸念から彼女を捕えるということになっているので非常に受け入れやすい設定となっている。
最後の幕切れは、全員が退場した後、オセローによって負傷したイアーゴー一人取り残された状態がしばらく沈黙状態で続いた後、彼はやおら立ち上がってニヤッと微笑むような笑みを浮かべ、足早に舞台下手奥へと消え去り、しばらくして海にザブンと落ちる音がして暗転する。
デズデモーナの死を前にしての「柳の唄」は省略されており、オセローが彼女を殺す場面も、彼女は椅子に座って観客席に背中を向けて座ったままの状態で絞殺されるという淡白な演出に、いつもは感じるこの場面でのデズデモーナに対する哀れな感情が湧いてこなかった。
子供のためのシェイクスピアとなっているが、意外に子供の姿は少なく、この日は中高年の年配者の姿が目立ったことと、恒例の開幕前のイエローハット登場で、今回初めてこの公演を観る人ということで挙手を求めると、かなりの人が手をあげたのも意外であった。
上演時間は、休憩なしの2時間。

(脚本・演出/山崎清介、7月17日(日)13時開演、池袋・あうるすぽっと。
チケット:(シニア)4200円、座席:G列12番)

 

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